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展覧会について
本展覧会は、奈良県立万葉文化館開催の「飛鳥の祝歌 絹谷幸二展」との連携展示である。万葉文化館では奈良に特化した視点から、古都奈良での境涯を原風景とした絹谷藝術の展開を辿る。
一方、絹谷には日本でのそれまでの価値観や美意識を一変させたヴェネツィアでの体験がある。初めて目にするもの、出会う人々、街の空気、「マンジャーレ(食べて)、カンターレ(歌って)、アモーレ(愛して)」を謳歌するイタリア人の人生観。そして、琴線に触れるイタリア・ルネッサンスの巨匠たち。「それまで私を束縛してきた日本的なるものが飛び散って、赤でも青でも、どんなイタリアの光彩も受け入れられると思った。」(『絹谷幸二 自伝』)と回想するように、ヴェネツィアでの記憶はもう一つの原風景と呼べるだろう。
この奈良とヴェネツィアという東西の美意識が交錯し、今日の豊饒なる絹谷藝術が誕生したのである。二つの原風景は双眼で物事を見る大切さを教え、ひいては生きる智慧示す拠り所ともなっていたと言えよう。
「ヴェネツィア祝歌」は、絹谷藝術の原点を振り返る機会であり、絹谷ワールド誕生へのオマージュでもある。
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