ライターブログトップへ

日本人はモネがお好き? 『モネ展 「日の出、印象」から「睡蓮」まで』@京都市美術館

日本人はモネがお好き? 『モネ展 「日の出、印象」から「睡蓮」まで』@京都市美術館

モネ展と聞いて、「あっ、またモネ?」と思う人も多いだろう。


しかし蓋を開ければその人気で連日多くの人が詰めかけているはず。毎年日本の何処かでモネ展が開かれているような気がします。



 

今春は、モネと並んで人気の高いルノワールも同じ京都市美術館で始まるのです。

そうでなくても観光客の多い京都で、春の桜の頃に「そうだ京都へ、モネとルノワールを観に行こう。」となるのではないでしょうか。

モネは長生きなので、作品数も多く、連作シリーズのテーマ別に、とか、人物像に注目したり、他の印象派の画家と組み合わせたりと展覧会の切り口は沢山あり、人が呼べる画家なのです。

私が纏めてモネ展として観て印象に残っているのは、2007年の国立新美術館開館記念
「大回顧展モネ 印象派の巨匠、その遺産ポスターになったあの傘を差した作品が爽やかな風が吹き抜けて行くような印象を受けた思い出があります。モネは日本の美術館での所蔵も多く、我々にはとても身近な画家でもありますね。

ごく最近では、2014年の秋に《ラ・ジャポネーズ(着物をまとうカミーユ・モネ)》を観に行った方も多かったでしょう。私も観に行きました。モネにとっては「思いつきに過ぎなかった」作品だったようですが。

マルモッタン美術館2014年に開館80周年を迎えた記念企画展第2弾として、初公開されて140年の《印象、日の出》をメインに据えたモネ展が開催されました。副題は「クロード・モネの傑作の真の物語」そのモネ展を日本へ持ってきたのが今回のモネ展です。

今回のモネ展にはどんな見所があるのでしょうか。内覧会に参加させて頂いて、まとめてみました。

モネ自身のプライベート・コレクションを展示

モネが最後まで手元に置いていた作品とモネ自身が購入したりプレゼントされたりした他のアーティストの作品、例えばドラクロアや敬愛したブーダンやシニャックなどの作品と初期に描いていたカリカチュアなど。

これらのプライベート・コレクションを相続した息子ミッシェルの死後、その遺志でマルモッタン美術館に遺贈され、それにより「マルモッタン・モネ美術館」となりました。



マルモッタン・モネ美術館の中核をなす“ド・ぺリオ・コレクション”の展示

中でも《印象、日の出》は、京都では33年ぶりの展示となります。(3/1-3/21

それ以降は《テュイルリー公園》が展示。



マルモッタン・モネ美術館が、モネ展を開催するに辺り、《印象、日の出》を調査した結果から《印象、日の出》が描かれた日時と場所の特定されたことのお披露目。



モネが後半生を過ごしたジヴェルニーの晩年から最晩年の作品。

白内障を患ってもなお描いた作品で、 次に来る時代を先取りしたような作風で、抽象表現主義、オールオーバーなの様な作品もプライベート・コレクションです。



これまで私たちが目にしてきたお馴染みのモネが個展等に展示、出品するために描いた連作は展示されていません。

内覧会当日には、マリアンヌ・マチューマルモッタン・モネ美術館副館長より、

《印象、日の出》作品についての説明及び、描かれた場所、日時の特定に至るまでの説明がありました。

《印象、日の出》は、今やモネを代表する作品の一つとなっているだけでなく、“印象派”と言う言葉の出発点ともなる作品ですが、描かれてから100年ほどは忘れ去られていた作品だったそうです。マルモッタン・モネ美術館で2014年モネ展を開催することとなり、それに際して《印象、日の出》の再調査、研究が行われ、描かれた場所と日時が判明しました。

《印象、日の出》の描かれた対象(水門が開いている、太陽がどの位置から昇っている、煙はどの方向に流れているなど)からどんなことが読み取れたかについては、作品の向かい側にあるパネルに詳細な説明されていますので是非それをご覧になって、本物の作品と見比べながらご確認ください。《印象、日の出》が描かれたル・アーブルの港は第二次大戦中に空爆を受け、《印象、日の出》が描かれたころの港は破壊されていました。しかし、1870年当時国家がル・アーブルの港で重要な港湾施設の建設を行っており、資料や写真が多く残されていたことが幸いしました。地質学、気象学、天文学まで動員して得られた結果は、《印象、日の出》が描かれたのは18721113日午前725分から35分である可能性が最も高いとされました。左下にあるモネのサインも、後から書かれた物ともいわれていましたが、この作品を描いたときに書かれたものであることも判明し、夕陽ではなく、確かに日の出を描いたものであったのです。

《印象、日の出》を前にすると、こんなにも小さかったのかぁと思われる方もいらっしゃるかもしれません。有名な作品は必ずしも大きくはないですね、実際に観る事の大事さが分かります。「揺れ」を感じます。すべてがゆらゆら揺れ、朝日を映した波に輝く朝日のオレンジ色が本当に印象的です。そしてこのオレンジの波も漂っています。船も動き、波も揺れ、煙突から出る煙も風に吹かれ、朝日を包む大気、湿気を帯びた大気がムワンと伝わってきます。この場の空気感がそのまま伝わってきます。この一瞬をキャンバスに写し取ろうとした、素早いタッチで一気に描いていくモネの気持ちさえも生き生きと伝わってくるようです。

マリアンヌ・マチューマルモッタン・モネ美術館副館長からNo.63の《睡蓮》についても説明がありました。《印象、日の出》を描いてから30年後の作品です。モネは43歳でジヴェルニーに移り住み、後半生をジヴェルニーで過ごします。No.63の作品は睡蓮を描こうとしたのではなく、水と水が写し出した世界を描こうとしている。端がない作品で、(なるほど、そう言われれば端がない!)小さな空間に大きな宇宙を見ているとマリアンヌ副館長は話されておりました。これが庭であることが分かるものは一つもなく、モネ自身はこの作品を《睡蓮》とタイトルをつけていないそうです。今回展示されているこれ以降の作品は、どんどん抽象的となって、20世紀のオールオーバー抽象表現主義の様になっていきます。

晩年は大きな作品を描くようになるのですが、今回展示されている晩年の作品も、公開されずに手元に置かれていたもので、オランジュリー美術館に展示する《睡蓮》への様々な下絵でもあったのではないかと担当学芸員の方からお話を伺いました。モネが白内障を患っていたことはよく知られており、確かに白内障のために青い色がよく見えなかったともいわれており、赤や黄色を多く使っていたともいわれているそうです。だからよく見えなくて晩年抽象的な表現になっていたのではないかとの見解もあるそうですが、しかし、それだけでは片づけられないほどに、晩年の作品の持つパワーがどれも凄くて圧倒されそうでした。今まで馴染んできたモネの作品とは異なる、プライベート・コレクションの中でも晩年の作品に焦点があてられたことは今回のモネ展の大きな注目点であると思いますし、ここが一番見所ではないかと私は感じました。

《印象、日の出》は、印象派やモネを代表する作品で、メディアでも何度も登場して、自分でも観た気になってしまっているかもしれませんが、京都では33年ぶり、東京でも21年ぶりの展示となります。

なんと、我が家にその33年前の図録があり、開いてみました。1982年に東京上野の西洋美術館からの巡回展で、京都市美術館のお向かい、京都国立近代美術館で198212/8から翌年19831/30までの冬に開催されており、《印象、日の出》《テュイルリー公園》だけでなく《ラ・ジャポネーゼ》まで全期間一緒に展示されていました。この展覧会で展示されたマルモッタ美術館の作品は今回の展示といくつか重なっておりました。

会期中の4/17には今やあちこちの美術館からメディアからアートな出版社からも引っ張りだこの原田マハさんの展覧会記念講演会が開催されます。ご参加される方はマハさんの著書『ジヴェルニーの食卓』で予習を!

美術館博物館など箱モノも実績を求められ、人が入る企画展の開催を迫られています。そんな中、京都市美術館も例外ではなく、人が入る「フェルメール」「モネ」「ルノワール」など人気の画家、しかも目玉となる作品1点あるいは数点を選んだ企画展の東京からの巡回展がとても多いと感じています。

 

あまり話題になりませんでしたが、私的にはとっても「よかったぁ」との印象を持った琳派400記念 -琳派降臨-近世・近代・現代の「琳派コード」を巡っての様な京都市美ならではの企画展を期待しています。


マルモッタン・モネ美術館の中の様子は、美術館のHPで巡ることが出来ますので、ちょっと目が回りそうですが、こちらも是非ご覧ください。

http://www.marmottan.fr/uk/Virtual_visit-musee-2511



【参考 HP

モネ展公式HP:http://www.ytv.co.jp/monet/index.html

モネ展facebook:https://www.facebook.com/monet2015/


東京都美術館: http://www.tobikan.jp/exhibition/h27_monet.html

メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド: http://www.mmm-ginza.org/special/201412/special01-03.html#header2013

ARTSCAPEArtwordshttp://artscape.jp/artword/index.php/category/art




 

licoluise の紹介

ARTが好きなのか?美術館に行くのが好きなのかしら? 行きかけると拍車がかかって、前のめりになっている今日この頃かもしれません。 「知らない」「???」が増えるばかりです。
カテゴリー: +展覧会   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク
この記事を書いているのは
licoluise

licoluise

MUSEUMコンシェルジュになりたいが、ARTには全くの素人。山間部育ち、専攻は「東洋史」、ただただ美術館へお出かけするのが大好きな私が、阪神間の美術展、アート関連施設やアートイベントなどについてアートへの思いを綴ります。つたない文章ですが、読んでくださる方々が、お出かけしてみようかなと思ってくださるきっかけになればと思っております。

コメントは受け付けていません。