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浸みこんでいく  『トラベラー まだ見ぬ地を踏むために』

浸みこんでいく  『トラベラー まだ見ぬ地を踏むために』

国立国際美術館40周年記念の展覧会となると、否応なしに期待が高まります。宝の山が目の前に現れるようなものですものね。

 

会場に足を踏み入れて間もなく、四方白い壁の部屋があります。ヘッドフォンを付けた鑑賞者たちが、壁を向き聞き入っているのか、見入っているのか・・・。一面「白」に何があるの?好奇心が沸き上がり、マックスに。

 

これは《見せる:国立国際美術館のコレクションを巡るオーディオ・ツアー》2018という作品です。壁には小さく(タイトルにあるように、国立国際美術館に所蔵されている)作家の名前と、振り当てられた番号が書かれています。音声ガイダンスにそれぞれの番号を入力すると、その作家の音声作品が流れてきます。141もの作品数をすべて聞くには時間がなく(そのあと、ヒーメン・チョンのパフォーマンスに参加する予定だったので)、気になる作品を選択することにしました。

鳥のさえずりが聞こえてきたり、アトリエの音、またはその音自体がまさに作家だなと思わせるものなど、聞き飽きることがありません。同じ枠内での表現になるからか、それぞれの個性をストレートに感じます。また絵画、彫刻、映像など様々な表現をする人が同一の方法で作品を作りだしていることも興味深いところです。

壁と、音声ガイダンス機器ばかりを見ていましたが、ふと部屋を見渡すと、そこにはもちろん壁の方向を見ている人、しゃがみこんで聞き入る人、連れの人と話しながら鑑賞する人たち、真ん中で宙を見上げながら作品を聞く人・・・。ヘッドフォンから音楽が流れていますが、静けさを感じました。鑑賞者を含めて、そこにある空気が止まっているいるようで、美しいとさえ思いました。

この作品は、カリン・ザンダーという作家によるものです。141名の作家に気を取られていましたが、それを作ったのはこのザンダーなのです。この作品の意図が気になりますが、鑑賞者とその会場の雰囲気、それぞれの作家の作品、そしてカリン・ザンダーと幾重にも「作品」が重なっていることに気づき、胸が高鳴ります。

これは資料や写真を見ただけでは味わえない感覚です。この作品に限らず、会場ではそれぞれの作品が発するパワーが体に浸みこんでいきます。現代アートはわからない、と尻込みしてしまう人も、行くだけで十分に面白さを体感できるはずです。

(そのあと、私はヒーメン・チョンの作品を体験しました。4月に予定されているアーティストトークも楽しみにしています。できればインタビューしたい、なんて大きな夢を見つつ・・・。参加しようか悩んでいる方、ぜひ!詳しくは美術館のHPをご覧ください。)

開館40周年記念展『トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために』

会  期:~2018年5月6日(日)
開館時間:10時~17時 ※金、土は20時まで(入場は閉館30分前まで)
休館日 :月曜日 ただし2月12日(月・祝)は開館し、13日(火)は休館。
4月30日(月・祝)は開館。

詳しくは国立国際美術館公式HPまで。⇒


何度も行きたくなるはずの今回の展覧会には、リピーター割引料金が設定されました。
一般 600 円 大学生 400円(本展使用済み観覧券持参で、2回目以降は特別料金!)

カワタユカリ の紹介

3月に、アートバーゼル香港に行く予定です。2年前に行って、2日しっかり見ても、まだ時間が足りないと思うぐらいの量。今回はどんな作品に出会えるのか楽しみです、
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この記事を書いているのは
カワタユカリ

カワタユカリ

美術大好き、年齢とは反比例の駆け出し美術ライターです。
現代アートを中心に、読むと行きたくなるような記事を書いていきたいと思っています。
よろしくお願いします。

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