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大阪から発信!美術館のあらたな旅立ち。「パフォーマンス」を収蔵するということ。

大阪から発信!美術館のあらたな旅立ち。「パフォーマンス」を収蔵するということ。

121()から国立国際美術館開館40周年記念展として「トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために」が始まっています。これまでも大阪から現代美術の美術館として様々な取り組みを発信してきました。日本では4番目の国立美術館で、2004年に万博公園から中之島へ移転してきました。移転したころからやっと時代が追い付いてきた感もあります。

40周年記念ということで、B2のコレクション展でよく目にしていた、カンディンスキーのあの作品やピカソの例の作品、ステラのあれ、会田誠のあれも・・・と期待していたあなた!今回は「回顧」懐かしむなどという甘ちょろい言葉は潔く捨て去りましょう。

コレクションのあれやあれは、次の5/26から始まる『視覚芸術百態:19のテーマによる196の作品』で叶えられそうです。

『トラベラー』展は、3人の女性研究員が担当されています。うち主任研究員 植松由佳氏が本展図録に書かれた文章からポイントとなる点をご紹介しながら、この展覧会はこんな感じとお伝えできればと思います。

キーワードは、「集積」「堆積」40年という時の積み重ね、美術館が立つ大阪・中之島の歴史やそばを流れる大川の堆積土など様々な「層」を内包しています。上述しましたように「今回は、コレクションのみによる構成ではなく選りすぐりの作品と国内外の作家の作品によるグループ展として企画」されています。

全館を会場として、2部構成となっています。作品にキャプションはありません。音声ガイドはあるようなので、最初は「音声ガイド」を頼りに進まれるのがお薦めかもしれません。作品リストにある地図を頼りに巡ってみましたが、それでも自分がどこにいるのか?と思い、知っている作品の場所に立ち返って自分の立ち位置を確認することもしばしばでした。これって、この展示自体の在り方に繋がっていたりするかも。



1部「The Multi-Layered Sea:多層の海」時間や歴史、記憶という多層化したレイヤーから私たちの社会の姿を浮かび上がらせている作家の作品を展示。

実物を目にするのをとても楽しみにしていたロバート・ラウシェンバーグ《至点》1968



4回ドクメンタ(1968年開催)に出品され、78年に国際美の収蔵となった作品です。中之島に移転後、国立国際美術館では一度も展示されたことがなく、大規模修復を経て展示されています。シルクスクリーンプリントが施された5組のスライド式自動ドアが鑑賞者の動きに合わせて開閉します。※(注)ロバート・ラウシェンバーグ《至点》作品内での鑑賞は、整理券制になっています。詳しくは⇒コチラから



B1のミュージアムショップの横にある

高松次郎《影》1977

万博公園の国際美を覚えている人にも懐かしい作品です。高松の作品の上に

ピピロッティ・リストが映像を投影するプロジェクションによるヴィデオ・インスタレーション《やわらかな受け入れへの地下 (Basement to Mildness)》2018年


水の流れのような蠢くピピロッティ・リストの映像から高松の《影》が見え隠れします。

B2に降りる前にB1の廊下には

ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー《大阪シンフォニー》2018年 サイトスペシフィック・オーディオ・インスタレーション

入り口で手渡されるヘッドフォンとアイフォン。大阪各地で採録した音を聞きながら廊下を歩く。アイフォンとヘッドフォンを纏った姿は、私たちが街でよく目にする「ながらスマホ」の光景ではないかしら。

 

2部「Catch the Moment:時をとらえる」これから積み重ねていく美術館の可能性を探る。2部では、「パフォーマンス」に参加せずして始まりません。 ※「パフォーマンス」への参加は、美術館HPの「今後のイベント」で日時をご確認ください。詳しくは⇒コチラから


パフォーマンス 笹本晃《Yield Point(降伏点)》2017年

2017年春ニューヨークのザ・キッチンで発表された作品の再構成、作家本人による再現。作家本人によるパフォーマンス、インスタレーションの中を激しく動き回ります。私たちは目撃者なのか、パフォーマンスの中の一人なのか。

※(注)笹本晃さんご本人によるパフォーマンスは、3月17日(土)、3月18日(日) 各日14:00~(約20分間)参加無料(要観覧券)、先着30名、当日10:00より整理券配布

「現代アート」と呼ばれる美術作品が、静的なものから、インスタレーション、映像、デジタル化・・・とその変化が加速され、それらを収蔵、展示、再現、保存、修復する美術館の在り方も当然のごとく変化を迫られています。国立国際美術館は、今回チラシ等で画像が紹介されているアローラ&カルサディーラ《Lifespan(2014)というパフォーマンス作品を2016年に 収蔵。日本において、それも国立の美術館でパフォーマンス作品を収蔵するということはかなりチャレンジングなことだったそうです。それを可能にしたのは、パフォーマンスをするのが、作家自身でなく、第三者で、かつ作品の構成要素として冥王代期の石と楽譜があったからというのです。つまり「再現性」が担保されているからという理由です。「再現性の確保」という問題は、現代アートの展示、保存、修復において重要で、さらには作品や作家に関する資料の収集、アーカイヴの整備、関係者へのインタビューの実施は必須項目との認識となってきているそうです。絵画や彫刻のような静的な作品の様に場所を移動して設置して完了の展示とは様相が違ってきています。パフォーマンスのマーケットも登場する一方で、美術館へ収蔵する、それを再現する際のコスト、予算の問題や、著作権などの法的な整備もこれからのようです。

5月1日(火)特別講演会「まだ見ぬ存在:パフォーマンス・アートにおける法律(仮)」講師:アラナ・クシュニール(キュレーター/法律家、オーストラリア)

篠原有司男《ボクシング・ペインティング》1991

1991年10月10日 国立国際美術館の 「芸術と日常-反芸術/汎芸術」展 において 篠原有司男によって 《ボクシング・ペインティング》パフォーマンスが行われました。ぎゅーちゃんにとっても約30年ぶりのボクシングペインティングは、公開制作の形をとり多くの人が初めてアクション現場に立ち会うこととなったそうです。それまでは紙に描かれた後破り捨てられていたのが常だった作品は、カンバスに制作され、その日のうちに展示室へ運ばれて出品作品となりました。この時の様子を伝える記録写真と共に「作品」はぎゅーちゃんの《ボクシング・ペインティング》パフォーマンス の痕跡と人々の記憶を留めることとなりました。



パフォーマンスであって演劇ではない、映像作品であって、短編映画ではない・・・うーんと考え込むところは多い。それぞれの垣根、決定的な違いは何?

現代アートを前にいつも戸惑いを感じている私です。これからの美術館、展示ということへの問題提起として、この展覧会は、「エポックメイキング」的な展覧会になるかもしれず、自分はその場に立ち会っているのかもしれないと感じました。

映像作品やパフォーマンスが多く、それを1日に全部観終えることはとても難しい。しかしながら、作品が次の作品の種を持っている場合もあるので、それを見逃しては次の作品がそこにあることの意味が半減してしまう恐れもあるのです。私の場合、一旦家に持ち帰って咀嚼し、再度出かけて次の作品に、パフォーマンスにチャレンジとなりそうです。

リピーター割引もあります。パフォーマンス参加には予約が必要なものもありますのでご注意ください。

図録は2冊で1セットとなっており、展覧会の記録として、展覧会場写真、パフォーマンス写真で構成された2冊目図録”BOOK2″が3月中旬に発売予定です。


  • 【開催概要】開館40周年記念展「トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために」
  • ・会  場:国立国際美術館 HPwww.nmao.go.jp/
  • 会  期:2018年1月21日(日)~2017年5月6日(日)
  • ・開館時間:10:00~17:00 ※金・土曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
  • ・休館日:月曜日(だし、2 月12日(月・休)は開館、13 日(火)は休館。4 月30 日(月・休)は開館)
  • ☆開催イベントについて詳しくは⇒コチラから
  • ☆☆リピーター割引料金:一般 600 円 大学生 400(本展使用済み観覧券をお持ちいただくと、2回目以降は特別料金でご覧いただけます)
  • ☆☆☆無料観覧日:2018 年3 月31日(土)

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ARTが好きなのか?美術館に行くのが好きなのかしら? 行きかけると拍車がかかって、前のめりになっている今日この頃かもしれません。 「知らない」「???」が増えるばかりです。
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MUSEUMコンシェルジュになりたいが、ARTには全くの素人。山間部育ち、専攻は「東洋史」、ただただ美術館へお出かけするのが大好きな私が、阪神間の美術展、アート関連施設やアートイベントなどについてアートへの思いを綴ります。つたない文章ですが、読んでくださる方々が、お出かけしてみようかなと思ってくださるきっかけになればと思っております。

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