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インスタ映え間違いなし!とってもユニークな「唐代の胡人俑」必見!!

インスタ映え間違いなし!とってもユニークな「唐代の胡人俑」必見!!

『開館35周年記念・日中国交正常化45周年記念 唐代の胡人俑 シルクロードを駆けた夢』大阪市立東洋陶磁美術館で開催中です。

ポスターをご覧になった方も多いことでしょう。ヒョウ柄のパンツ(実は皮のパンツです)をはいて両手をあげるのは”ぴこ太郎”?とっても個性的、そんな個性的な面々が展示室にずらりと並びます。

「俑」とは、死後も生前と同じ暮らしができるようにと作られた様々な副葬品のうちの人物模型(人形)です。眺めも壮観、秦の始皇帝の「兵馬俑」が有名です。「俑」は、死者のために作られ、他人に見せるために作られた物ではないのです。私たちが今目にするものは、墳墓から出土したものです。

唐代のやきものといえば「唐三彩」が有名で、副葬品として焼かれたものが多いそうです。しかし、唐代を通して作られたのではなく、7~8世紀に作られた限定的なやきものだそうです。

では、「胡人」とは?「胡」は「えびす」とも読め、中央アジア以西のイラン系住民を指していました。中国で「胡」の漢字を使った植物には「胡桃(くるみ)」「胡麻(ごま)」「胡瓜(きゅうり)」など中央アジア原産かそこを経由して中国へ伝えられたもののようです。遥かシルクロードを通って西の文物を東方に伝えたのがソグド人です。西域諸国の 商人は「商胡」とも呼ばれ、中継貿易を独占する彼らは「子供が生まれれば長じて甘言を駆使できるように口には蜜を、掌には膠をぬってお金が稼げるようにした」とも中国の古い書物に書かれているようです。「ソグド人」の居住地は、南はインドに通じ、北は北方アジア草原に接し、南北をも結ぶ土地で、そこを経由して唐の都長安へ文物だけでなく、多くの人の往来は、仏教、回教、ゾロアスター教(祆教)、ネストリウス派キリスト教と外来宗教さえも流入し受け入れ、100万の国際都市だったと伝えられています。

展示されている胡人俑は、2001年に甘粛省慶城県にある、唐時代の游撃将軍・穆泰の墓から発見されたものです。墓誌も発見され穆泰が開元17(729)年に70歳で亡くなり、翌開元18(730)年に埋葬されたことまで分かっています。穆泰が生きた時期は、詩人の李白や杜甫、玄宗皇帝と楊貴妃の時代で、盛唐と呼ばれる時代です。

2001年の発見とあって俑に施された加彩も鮮やかに残っています。シルクロードへ続く長安近郊は、乾燥地帯だったことも影響しているかもしれません。墓の主 穆泰は、それほど高い位の人ではありませんでした。故にこれらの俑は民間の窯で焼かれたものと考えられますが、胡人俑は、11躯がとても個性的で、とてもリアル、ユーモアもたっぷり、生き生きとし、 当時の風俗もよく伝わってきます。民窯だからこそ自由な表現ができたのかもしれません。名もなき陶工たちの技量の高さに驚くばかりです。

メインビジュアルの《加彩胡人俑》は、ぐっとあげた右手を向き、砂漠の船、駱駝を操っているところでしょうか、漢の武帝が求めた血の汗を流して走る「汗血馬」を引き連れているのかもしれません。褐色の肌、彫の深い顔立ち、長い耳たぶ、オールバックに朱の鉢巻きをする胡人は、南方からのインド系の胡人のようです。腰には可愛い小さな黒いポシェットを下げています。

シャベル形のもみあげと一体になった顎髭は穆泰墓出土の胡人俑特有の表現のようです。

大きな太鼓腹の胡人俑に施された彩色にもご注目ください。乳房がだらりと垂れ、胸毛まで丁寧に描きこまれています。暑い時期に上着をめくって大きなお腹を見せているおじさんは、今も中国では時々見かけるそうです。

高い突起のある帽子(胡帽)を被ってウインクする胡人は、明らかに漢人とは顔貌が異なっています。こちらに向かって何か言いたげな表情がいいですね。「深目高鼻」「多鬚髯」と胡人に特徴的な顔立ちは、正倉院に伝えられる「伎楽面」に通じます。






北魏時代の細い婦女像と違って、唐代になると女性たちの体形は「ふくよか」で、機能的だった胡服は、女性たちにも流行したようです。鮮やかなオレンジの胡服を纏い、襟を折り返し、裏地には金彩で装飾され、優雅な立ち姿でほほ笑む婦女像は男装の麗人のようで、じっと見とれてしまいます。一見男性なの?とも見まごう《加彩女俑》たち、額に朱の「花鈿」が認められ、胡服の着こなしも様々で、お得意のポージングで決めています。

李白の詩『少年行』には、長安にある酒肆でエキゾチックな「胡姫」がお酒の接待をしていたとみられます。そんな景色も普通に見られる国際都市長安です。

これらの「俑」が人目に触れることなく墓の中深くで暮らしてきたことを忘れそうです。

今回展示されている胡人俑は中国でも「一級文物」つまり日本の国宝級で、もちろん日本初公開です。しかも展示は、東洋陶磁美術館だけで、巡回はありません。中国へ見に行くといっても、内陸部西安からも250km離れたところに展示されています。どうぞこの機会をお見逃しなく!

同時開催「時を超えて人物像がめぐりあう。」『国立国際美術館開館40周年記念いまを表現する人物像』として9点の現代作家による人物像が出張展示されています。ぽってりしたマリノ・マリーニ《踊子 1949や色彩鮮やかなニキ・ド・サンファル《アダムとイヴ 1977と一緒に観ても、唐の胡人俑たちの造形は、生き生きと躍動感にあふれ「古美術」や「現代美術」という壁を易々と越えてしまっています。




特集展「中国陶俑の魅力」 では、墓室の入り口を守った「天王俑」や「鎮墓獣」の迫力ある異様な造形もお忘れなく。

《三彩天王俑 唐時代 8世紀》


平常展「安宅コレクション中国陶磁・韓国陶磁」など では、

《加彩婦女俑 唐代8世紀》

愛らしく回っていました。今回はバックスタイルを撮影しました。

 

《国宝・飛青磁花生元時代・14 世紀 龍泉窯》

《国宝・油滴天目茶碗 南宋時代・12-13世紀 建窯》

昨秋京博での『国宝展』で見逃した方も、そうでない方も撮影もOKです!自然光でみる深い国宝の色合いをじっくりとどうぞ!





 

【開催概要】

  • 開館35周年記念・日中国交正常化45周年記念特別展「唐代胡人俑―シルクロードを駆けた夢」
  • ・開催会場:大阪市立東洋陶磁美術館 HPは⇒コチラから
  • ・会  期:2017 年12 月16日()~2018 年3 月25 ()
  • ・休 館 日:月曜日、2月13 ()、ただし2月12(月・祝)は開館
  • ・開館時間:9:30 ~ 17:00 、ただし入館は閉館の30分前まで
  • ・作品リストは⇒コチラから
  • 特集展「中国陶俑の魅力」作品リストと解説はコチラから

  • 連続講座 第3回「唐代胡人俑の魅力」
    • ※スライドを交えたとても分かりやすいお話でお薦めです。
  • ・日時:2018年2月12(月・祝)午後3時~4時30分まで(受付開始2時30分)
  • ・講師:大阪市立東洋陶磁美術館学芸員 小林仁
  • ・場所:大阪市立東洋陶磁美術館 地下講堂
  • ・参加費:無料(ただし、観覧券が必要)
【参考】古い本ですが、唐代長安の入門書

石田幹之助著『長安の春』1967 平凡社 お薦めです。

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ARTが好きなのか?美術館に行くのが好きなのかしら? 行きかけると拍車がかかって、前のめりになっている今日この頃かもしれません。 「知らない」「???」が増えるばかりです。
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MUSEUMコンシェルジュになりたいが、ARTには全くの素人。山間部育ち、専攻は「東洋史」、ただただ美術館へお出かけするのが大好きな私が、阪神間の美術展、アート関連施設やアートイベントなどについてアートへの思いを綴ります。つたない文章ですが、読んでくださる方々が、お出かけしてみようかなと思ってくださるきっかけになればと思っております。

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