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今年も京都は、京博から~お薦めはズバリ!『有職の装束』~

今年も京都は、京博から~お薦めはズバリ!『有職の装束』~

『京博のお正月 新春特集展示 いぬづくし-干支を愛でる- ここ数年恒例の「干支」の展示を楽しみにお出かけしてきました。昨年の「国宝展」で賑わった展示室も落ち着きを取り戻しというところでしょうか。順路通りに3階から



名品ギャラリー>陶磁>日本と東洋のやきもの

これまでに幾度となくお目にかかっているやきものもありましたが、中国の俑は、最近も東洋陶磁美術館で目にしたばかりでいつになく足が止まりました。最初に目にする《灰陶武人俑 1躯》は、左親指を立ててまるで“good job!”と挨拶しているかのようです。唐三彩は主に則天武后の時代つくられたという。1対の《三彩魌頭墓の守りでもある故か、なんとも異様な姿態です。背中に怪獣のような翼が生えていました。仁清も何点か展示されています。何度お目にかかってもやっぱり目を惹く《重文 銹絵水仙文茶碗 野々村仁清 1口》金森宗和が菩提寺の天寧寺に寄進した茶碗らしいです。水仙1輪を銹絵で描いた洗練された茶碗です。華麗な京焼の仁清つくる静かな世界観です。新春にふさわしく《重文色絵若松図茶壺野々村仁清 1口》艶のある漆黒の釉薬に鮮やかな若松や桜や椿が映えて美しい。地色の「仁清黒」は、並河靖之の七宝も想起させはしないかしら。茶壷は下方1/3ほどに胎土が現れるのが一般的なのでしょうか。黒色に金彩や鮮やかな色彩が見られるこの茶壷に「蒔絵」との関係性もとのキャプションがありました。さもありなん。

名品ギャラリー>考古>日本出土の考古遺物

私はこんなのを見たことがなかった1人面墨書土器 出土地不明 1奈良時代終わりから平安時代にかけてはよく見られるものらしい。器の側面に墨で人の顔が描かれていますが、その表情はほぼ暗い。川に流したりしたらしく、不吉なことを流そうとしたのでしょうか。ちょっとこんな顔の落書きみたいなの見たことあるって感じで、クスッともきますが。

新春特集展示 いぬづくし─干支を愛でる─1/21まで)

新年のこの企画はそれほど前からではないとのこと、というか、復活企画であったそうです。人間社会では、身近な存在の「犬」ですが、さて展示をとなるとご苦労もあったようです。「猟犬」としての歴史が古く、白が好まれていたとか。「コロ」って名前が似合うのでは?狗子図 長沢芦雪筆 1は、ころころと愛らしく、応挙に学んだのでしょうか。私のお薦めの1点は加彩婦女立俑(狗を抱く)1東洋陶磁美の平常展で回っている加彩婦女立俑はお馴染みですが、こちらは手に鳥をとまらせていたのではないかと。展示中の婦人俑は、独立ケースで360度から眺められる。ふっくらした顔立ちはこの時代を偲ばせ、流行りのたっぷりした胡服を着ていても、そのウエストラインもしっかり確認。大きなお団子をのせたような特徴的な髪型、どんな風に持ち上げているのかしらと思いつつ後ろにも回ってみました。

名品ギャラリー>中世絵画>東福寺の画僧・明兆とその周辺1/21まで)

白衣観音図 明兆筆斜め向きの白衣観音は、鑑賞画的な性格を持っていたのでしょう。斜めに肘をつきかなたを見つめる白衣観音、ちょっとハッとして、色っぽいなぁと思っておりましたら、キャプションには「なまめかしい」と。

名品ギャラリー>近世絵画>仙人大集合1/21まで)

解説に「仙人とは、人間界を離れて山中に住み、修業を通じて不老不死となって、さまざまな法術をあやつるとされる人のことです。中国の伝統宗教である道教において、理想的人物として重んじられました。」様々に目にする「群仙図」ですが、今の私たちがその背景を理解することは更に難しい。群仙図屏風 雲谷等顔筆 61に傘に載る仙人は「張騫」とあり、漢の武帝が西域に派遣したあの張騫が仙人になっていたとは驚きました。達磨蝦蟇鉄拐図 狩野探幽筆 3幅対探幽が描けば「蝦蟇鉄拐」の何だか瀟洒端麗?迫力に欠ける感がありました。群仙図屏風 鈴木松年筆同じ群仙図でも何か違和感があります、それは近代という時代のせいでしょうかしら。西洋画的な手法を感じたのは私だけでしょうか。「中国絵画」も「中国の仙人たち」でした。さて、今回の展示でもっともお薦めしたい

特集展示 御所文化を受け継ぐ─近世・近代の有職研究─(1/28まで)

御所がある京博ならではの展示ではないでしょうか。タイトルに「研究」とあることにご注目ください。

「有職ひな人形」ってよく目にしますがこの「有職」って何を意味するのでしょう。御所での政務や宮廷儀式のための「宮廷様式を伝承する知識体系」を意味しています。HPの解説にも「平安時代に頂点を迎えた御所を中心とする公家文化は、社会の変動や応仁の乱をはじめとする内戦によって、次第に簡略化へと向かいました。」とあり、その間に再興されない儀式が生じて、装束や調度が失われていったそうです。世相が落ち着いた江戸時代になると、在りし日の宮廷文化を再現するために有職研究が重ねられ、現在に伝わっています。一度途絶えた宮廷様式が復活しても伝統的でないところもみられて江戸初期の宮廷様式は「寛永有職」と揶揄されたとか。今なら動画で伝える術もありますが、人が書いて記録に残すしか伝える方法はありません。調度もさることながら、やはり目を惹くのは「装束」の美しさです。「有栖川宮家旧蔵装束の世界」立体的に展示され、どのように装束を召されていたのかも伝わりました。日本古来の染色の色、織の美しさは、11つに意味を持たせ、美しく奥ゆかしく雅です。そう決してハデハデしくはない。近代になると洋装が宮中に導入されます。《五衣唐衣裳装束 秩父宮勢津子妃所用1具》袿の裾を曳かず、長袴ではなく足首までの切袴をお召しになって、袴と同じ裂で作られた靴を履いておられたようで、ピンクの靴も展示されていました。着物の展示よりももっと目にする機会のない宮廷の装束は「百聞は一見にしかず」です。手元に置いて何度も繰って見てみたい《有職裂 1帖 》。



新年から南門のカフェが「前田珈琲京博店」にリニューアルオープンしています。「ふわふわ玉子サンド」は京博限定です。

【開催概要】

・京都国立博物館 HP:http://www.kyohaku.go.jp/jp/index.html

・新春特集展示 いぬづくし─干支を愛でる─ 2017年12月19 日~2018年1月21日

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・特集展示 御所文化を受け継ぐ─近世・近代の有職研究─ 2017年12月19日~2018年128

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ARTが好きなのか?美術館に行くのが好きなのかしら? 行きかけると拍車がかかって、前のめりになっている今日この頃かもしれません。 「知らない」「???」が増えるばかりです。
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MUSEUMコンシェルジュになりたいが、ARTには全くの素人。山間部育ち、専攻は「東洋史」、ただただ美術館へお出かけするのが大好きな私が、阪神間の美術展、アート関連施設やアートイベントなどについてアートへの思いを綴ります。つたない文章ですが、読んでくださる方々が、お出かけしてみようかなと思ってくださるきっかけになればと思っております。

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