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2017年アートを振り返る。 ~licoluise編~

2017年アートを振り返る。 ~licoluise編~

ARTブログを書き始めて2 年目になりました。今年も関西を中心に展覧会を巡りました。このブログを書くということの恩恵を受けて内覧会にもたくさん参加させて頂きました。『技を極める―ヴァン クリーフ&アーペル ハイジュエリーと日本の工芸』@京都国立近代美術館の内覧会はファッション業界の方も多くてたいそう華やかで場違い感も無きにしも非ずでした。40年ぶりとなる京都国立博物館で開催された『国宝展』の内覧会に集まった報道関係者の多さに驚き、その場に自分がいることが信じられなかった。担当学芸員の方のお話を伺う機会にも恵まれて、展覧会への思いも更に強くなりました。

『茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術』@京都国立近代美術館は、昨年のNo.1となっており、『台北国立故宮博物院北宋汝窯青磁水仙盆』@大阪市立東洋陶磁美術館も昨年129日に出かけており今年のリストには入っておりません。「雨過天青」《宋汝窯青磁水仙盆》が呑み込めるにはまだまだ遠い存在のような思いを持っております。

さて、どの展覧会も思い出深く、ベストを選び順位をつけるということは烏滸がましくてですが、

今年のNo.1は何といっても『北斎-富士を越えて』@あべのハルカス美術館 です。

イギリスへ作品を送り出す前の記者発表にも参加させて頂き、内覧会ではティモシー・クラーク大英博物館アジア部日本セクション長と浅野秀剛あべのハルカス美術館長から直々解説を拝聴するというとてもラッキーな展覧会でした。記者発表から展覧会が始まるまでに北斎関連の本も読む時間がありました。あまりに有名すぎて知っているようで全く分かっていない北斎でした。今回の展覧会は還暦過ぎてから30年、それも肉筆が多く展示された画期的な展覧会でした。最晩年に描いた肉筆に驚き、感動しました。確かに娘応為や弟子が手伝っているかもしれないけれど、絵の中に生きる精神は北斎のもので、線一本一本に北斎の思いを感じました。ブログ:感動!! やっぱりすごい北斎、最晩年の北斎は神の領域でした。

No.2『特別展 快慶 日本人を魅了した仏のかたち』@奈良国立博物館

仏像のこともよく分からず、仏師「快慶」という名前しか知らなかった「快慶」でしたが、「三尺阿弥陀」や運慶とは立場の違った仏師「快慶」という人物にも惹かれた展覧会でした。この展覧会で当たり前のことかもしれないのですが、担当の研究員の方が、像内納入品の隅々まで目を通されていて、何をお尋ねしても答えてくださり、凄い!と思ってしまいました。美術館によっては、巡回展は専門ではないのでとおっしゃるところもあったりしますから。『運慶展』@東京国立博物館 行けなかったことが心残りです。ブログ:「仏師 快慶」ことはじめ 『快慶展』@奈良国立博物館

No.3 『開館120周年記念特別展覧会 海北友松』@京都国立博物館

京博で開催されてきた桃山シリーズの最後の絵師が海北友松です。満を持しての登場です。武士の家に生まれながら絵師として活躍する孤高の絵師で、様々な人物との交友関係も面白く、描く絵も様々に描き分けていました。友松展を観てから、友松と縁が深い建仁寺にもあらためて訪れてみて、今まで気づかなかった事にも目を向けて拝観しました。ブログ:永徳、等伯、山楽に並ぶ桃山の絵師海北友松ただものではなかった!!



No.4『ミュシャ展』@新国立美術館

今年唯一東京まで出かけた展覧会です。私が生きているうちに「スラブ叙事詩」全20作を観る機会はまずないだろうと思い出かけました。一歩展示場に足を踏み入れて目にした《スラブ叙事詩「原故郷のスラブ民族》に圧倒され、感動で震えてしまいました。人が少なくなる閉館時間まで展示室にいました。行ってよかった!

No.5『クラーナハ 500年後の誘惑』@国立国際美術館

ヨーロッパの美術館には必ずあるらしいクラーナハですが、日本でまとめてみる機会はそうない。クラーナハに関する本も捜してみましたがなかなか見つかりませんでした。ルターの宗教改革にも一役買いながらも、あの薄―いベールを纏った妖しげな女性像にドキドキしました。ブログ:クラーナハが描く女性たちは、強くてしたたか。クールビューティ



No.6『奈良美智 for better or worse』@豊田市美術館

奈良さんの大回顧展、奈良さんと共にあるような気がした。どの子にもじーんときました。夏の18切符で訪れました。豊田市美術館は、名古屋からが遠い!谷口吉生設計の美術館の建物も大好きです。

No.7『国宝展』@京都国立博物館

60万人もの人が来館し、展示場は大変な混雑でした。そんな「国宝展」には批判的な言葉も多く目にしましたが、40年ぶりに京博で開催された国宝展の開催趣旨を把握すれば納得の展覧会ではなかったでしょうか。春の記者発表や夏の「曼殊院黄不動の御衣絹加持の痕跡発見」の記者発表にも参加させていただき、私にとっても思い入れの深い展覧会でした。何度も展示替えがあるため6 回も出かけてしまいい、秋は忙しかったです。6 点の雪舟の国宝が一つの部屋で眺められる贅沢も味わいました。いつもは読めない分からないとサラーと観る「書跡」に魅力を感じ、「装飾教」には一字一字に願いが込められていました。宋、明、元と中国美術はやはりすごくて、奥が深いと痛感しました。ブログ:『秋の京都は「国宝の杜」へ。ついに始まりました『国宝展』@京都国立博物館



No.8『雪村-奇想の誕生』@MIHOミュジアム

雪村の《呂洞賓図》がもともと大好き、東国の絵師として雪村の生涯を追いながら雪村の作品を纏めてみる機会になり、後の世の多くの絵師に影響を与えたことを知りました。ブログ:「奇想の誕生」東国に生きた画僧「雪村」の生涯を辿る。



No.9『ジャコメッティ展』@豊田市美術館

夏に出かけたときに、冬の18 切符でも来たいと思い前売りをミュージアムショップで買いました。あの細長く引き伸ばされた造形はどうして生まれてきたのか?との思いを持ちながら、会期末間際に行ってきました。新国立美術館とは展示が違っていたようで、豊田市美術館の展示室にあった考えられた展示で、西日を背にする《ヴェネツィアの女》がとても良かった。ちょうどボランティアガイドさんの解説会に参加させていただき、ほかの方の感想なども伺いながら素敵な時間を過ごせました。ジャコメッティの生涯と人間性を感じる展覧会でした。

No.10『1000年忌源信 地獄極楽への扉』@奈良国立博物館

夏によく開かれる地獄の展覧会とはちょっと趣が違っていたのではないでしょうか。『往生要集』とその編者「源信」を知る機会となりました。私にとっては地獄よりも、多く描かれた「来迎図」がとても印象に残りました。この手の展覧会は流石に奈良博と感じた次第です。香雪美術館蔵《帰り来迎図》は本当に愛らしく、香雪美術館での再会を願っています。ブログ:地獄・極楽への扉を開く『往生要集』を描いた死後の世界



次点は『京都の至宝 黒田辰秋展』@美術館「えき」KYOTO 黒田の並外れた技が輝いていました。正倉院展のおついでにと出かけた『没後40 年 幻の画家 不染鉄』@奈良県立美術館 東京で評判の展覧会でしたが、私は全く知らない画家で、作品を目にして驚き以外の何物でもなく、衝撃を受けた画家、作品でした。もう一度じっくり見たい不染鉄です。『岡本神草の時代展』@京都国立近代美術館 《口紅》舞妓が手にする手鏡の模様が「源氏香」で、自分の中に「源氏香」ブームが来てしまいました。『没後70 北野恒富展 なにわの美人図鑑』@あべのハルカス美術館 古き良き浪速を感じる展覧会でした。錦秋の大山崎山荘美術館でみた有元利夫展、早くして逝ってしまった有元に涙しました。が、作品はずっと私たちに語りかけているようでした。

番外編として、今年はデュシャンが《泉》を発表して100年ということで、京都国立近代美術館ではキュレトリアル・スタディズ12: 泉/Fountain 1917-2017 が来年の3月まで開催されています。おりおりに開催されるレクチャーにも参加させて頂きました。国立国際美でのレクチャーにも参加しました。レクチャーの講師の先生方は、「デュシャンの術中にははまらない!!」と仰りながらもズブズブにのめりこまれていらっしゃるのでは?とニヤニヤしながら毎回ちょっと難解でもあるお話を拝聴しました。という私も頭を抱え込みながらデュシャンの術中にはまっているのかもしれない。とても興味深い企画で、来年126日開催の毛利悠子×浅田彰(批評家)トークショーでどんなお話が伺えるのかとても楽しみにしています。

京都国立近代美術館が行っている『感覚をひらく新たな美術鑑賞プログラム創造推進事業』第2回フォーラム 「伝える・感じる・考える――制作者と鑑賞者の対話」にも参加させていただきました。見える人と見えない人が同じ作品を鑑賞する体験で、とても貴重で新鮮な経験をさせて頂きました。このファーラムについては別途まとめたいと思っています。いつもとは違う美術館での体験は、新しい視点が生まれてきます。これからも機会があれば参加していきたいと思っています。今年の作品ベスト5

葛飾北斎《雪中虎図》嘉永2年(1849)正月@『北斎ー富士を越えて』あべのハルカス美術館
葛飾北斎《七面大明神応現図》弘化4年(1847)@『北斎ー富士を越えて』あべのハルカス美術館
アルフォンス・マリア・ムハ《スラブ叙事詩「原故郷のスラブ民族》1912年
@『ミュシャ展』新国立美術館
海北友松筆《網干図屏風》六曲一双@『海北友松展』@京都国立博物館
国宝雪舟6件「雪舟部屋」@『国宝展』@京都国立博物館
次点は、《曜変天目茶碗》@『FUJITA ザ・コレクション』@藤田美術館
何度もお目にかかってますが、碗の外側に光をあてられたのを見たのは初めてでした。大好きな藤田美術館、土蔵の展示室がお名残り惜しかった
 

観る人にとって快適な鑑賞空間を提供して頂きたいと強く願います。小さいお子さん連れの方や障害のある方にとっても優しい環境であることを願っています。しかし、現実は多くの入場者が次の展覧会開催へと続くのだそうです。

個人的にかなりの衝撃を受けてしまった『不染鉄展』も『岡本神草』も岡崎の星野画廊さんでかつて展覧会を開催されていました。世界の大美術館から巨匠の作品数点を持ってきて開かれる展覧会にはどうも心が動かない。作家を丁寧に追ったり、学芸員さんの研究、仕事の軌跡が見えるような展覧会に心が動きます。その答えを星野画廊主の「不染鉄遺作展」後記に私はヒントを頂いたように思っています。その時の自分にとって「佳い作品」と巡り合うということなのだなぁ最近つくづくと感じています。

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ARTが好きなのか?美術館に行くのが好きなのかしら? 行きかけると拍車がかかって、前のめりになっている今日この頃かもしれません。 「知らない」「???」が増えるばかりです。
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MUSEUMコンシェルジュになりたいが、ARTには全くの素人。山間部育ち、専攻は「東洋史」、ただただ美術館へお出かけするのが大好きな私が、阪神間の美術展、アート関連施設やアートイベントなどについてアートへの思いを綴ります。つたない文章ですが、読んでくださる方々が、お出かけしてみようかなと思ってくださるきっかけになればと思っております。

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