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“the 西洋絵画!”ルネサンス・バロック・ロココのオールドマスターが並ぶ!

“the 西洋絵画!”ルネサンス・バロック・ロココのオールドマスターが並ぶ!

兵庫県立美術館で「大エルミタージュ展」が開催されています。

「エルミタージュ美術館」展と称する展覧会は毎年開催されているのでは?と思う程に日本で開催されていますが、世界三大美術館の内の一つであり、コレクションの総数は310万点、そのうち絵画だけでも17千点に及ぶそうです。毎年違う作品が来日したとしても・・・。

エルミタージュ美術館はロシア皇帝エカテリーナ2世1729-1796年、在位1762-1796年)の個人コレクションから始まりました。ドイツに生まれたエカテリーナは、ロシアへお嫁に行き、ロシア語を習得し、ロシア正教にも改宗しました。ちょっと問題があった夫ピョートルがピョートル3世としてロシア皇帝に即位しますが、すぐにクーデタによって皇帝となりました。プロイセンのフリードリッヒ1世やオーストリアのヨーゼフ2世と共に「啓蒙専制君主」として君臨し、フランスの思想家ボルテールとも親交がありました。他の女帝と同様に生涯に多くの愛人を持ち、アメリカ独立革命戦争、フランス革命など激動の革命期の西洋史の時代を強く生きた女性です。もっとご興味のある方は池田理代子著『女帝エカテリーナ』をお薦めします。

エカテリーナ2世がベルリンの実業家から絵画317点を買い取ったのがコレクションの始まりです。冬宮殿のお隣にエカテリーナ専用の美術品展示室を建て「エルミタージュ」と呼びました。「エルミタージュ」はフランス語で「隠れ家」を意味します。作品は300点、500点単位で購入されていき、エルミタージュは増築に増築をかさね、1990年には美術館を含め「サンクトペテルブルク歴史地区と関連建造物群」として世界遺産に登録されています。写真でみるかぎりどれだけお部屋があるのかと思ってしまいます。

サブタイトルとなっている「オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち」からも分かりますように19世紀以降の巨匠の作品を「モダンマスター」と呼ぶのに対し、16世紀から18世紀、ルネサンス・バロック・ロココの巨匠の作品、それもエルミタージュ美術館の常設展示室から運ばれた作品ばかりのラインナップとなっているそうです。膨大なコレクションの内の85点、そのうち42作品がエカテリーナ在位中に取得された作品で、キャプションに王冠マークが付いていますのでそこにもご注目下さい。



展覧会は、1から6章まで、国別・地域別の構成となっています。16世紀から18世紀のヨーロッパ、それぞれの国が抱えていた社会情勢が絵画にも反映し、主題や描き方が影響をうけています。世界史で習ったとはいえ、我々にはなかなか理解しがたいところかもしれません。

1. イタリア:ルネサンスからバロックへ ローマ、ヴェネツィアとルネサンス文化が成熟していきます。ティツィアーノは、国立国際美術館『ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち』東京都美術館『ティツィアーノとヴェネツィア派展』が開催され日本ではすっかりお馴染みの巨匠です。メインビジュアル《羽飾りのある帽子をかぶった若い女性の肖像》は、男装の麗人らしく、ティツィアーノの代表作《ウルビーノのビーナス》と同じ女性を描いています。お気に入りのモデルだったのかもしれません。いち早くルネサンスが花開いたイタリアは近代においても西洋絵画の出発点で、ヨーロッパ諸国の画家の憧れの地であったことでしょう。


2. フランドル:バロック的豊穣の時代 17世紀のフランドルは巨匠ルーベンスの時代です。ハプスブルク家支配下のアントウエルペンを飾る絵画は、バロック様式を確立します。不協和音が聴こえてきそうなスネイデルス《鳥のコンサート》は気味悪さが残る作品でした。

3. オランダ:市民絵画の黄金時代 オランダの巨匠光と影のレンブラントが登場する17世紀のオランダは絵画の黄金時代です。独立戦争を経て独立国家となったオランダでは、海外へも進出し、新興市民層が家に絵を飾るようになります。一般家庭にも飾られる教訓的で比較的小さな作品が目立ち、様々なジャンルの絵画が生まれました。

4. スペイン:神と聖人の世紀 「太陽が沈まぬ国」と呼ばれたスペインが16世紀末に無敵艦隊がイギリスに敗れて斜陽の時代を迎えます。対宗教改革から生まれた禁欲的で敬虔なカトリック信仰の宗教画です。ムリーリョの柔らかで優しい宗教画に心が救われる思いがします。ムリーリョは、庶民の過酷な生活にも目を向けています。スルバラン母マリアの少女時代》市井の少女のようなマリアの少女像ですが、遠くを見つめるその少女のあどけなさに無垢な信仰心が伝わってきます。

5. フランス:古典主義的バロックからロココへ フランスは絶対王政の時代を迎えています。王立絵画彫刻アカデミーを代表すように題材も描き方も古典主義様式がよく表れています。一転して貴族の享楽の様を描いたロココ絵画は、ピンクや水色が多く使われた色合いも鉄板です。市民の日常のありふれた光景が描かれたシャルダン《食前の祈り》はにほっとする思いがしました。。

6. ドイツ・イギリス:美術大国の狭間で ドイツは宗教改革の嵐が吹きすさび、ルターの友人でもあったクラーナハ《林檎の木の聖母子》『クラーナハ展-500年後の誘惑』以来お目にかかるのは2度目です。早くに市民革命を終えたイギリスでは産業革命も始まりヨーロッパ諸国より一歩先んじていたようですが、美術界ではどうもぱっとしなかった?の印象です。

お子様や西洋絵画初心者向け、この時代のヨーロッパ絵画を概観し、紹介する展覧会となっています。背景にある各国の政治宗教社会情勢も一緒に考えると興味深い展覧会となることでしょう。


【開催概要】大エルミタージュ展
・会場:兵庫県立美術館 展覧会HPは⇒コチラから
・会期:2017103()~2018114()
・開館時間:午前10~午後6時、金土曜日は8時まで(但し、12/29()は午後6時まで)
入場は閉館の30分前まで
・休館日:月曜日(ただし、1/8(祝・月)は開館、1/9()は休館)年末年始(12/31()1/1())

【参考】
・兵庫県立美術館facebookでは、「エル見た?」と題して県美スタッフのおすすめが連載中。
・エルミタージュ美術館のHPは⇒コチラから

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ARTが好きなのか?美術館に行くのが好きなのかしら? 行きかけると拍車がかかって、前のめりになっている今日この頃かもしれません。 「知らない」「???」が増えるばかりです。
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この記事を書いているのは
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MUSEUMコンシェルジュになりたいが、ARTには全くの素人。山間部育ち、専攻は「東洋史」、ただただ美術館へお出かけするのが大好きな私が、阪神間の美術展、アート関連施設やアートイベントなどについてアートへの思いを綴ります。つたない文章ですが、読んでくださる方々が、お出かけしてみようかなと思ってくださるきっかけになればと思っております。

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