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ザ・未完成の大正画家、“こだわり屋さん”岡本神草の時代展@京都国立近代美術館

ザ・未完成の大正画家、“こだわり屋さん”岡本神草の時代展@京都国立近代美術館

岡本神草《口紅》(大正7年(1918年))、京都国立近代美術館蔵。

“岡本神草”という名前は知らなくとも、この《口紅》という作品なら目にしたことがある!という方多いのではないでしょうか。

岡本神草(1894-1933年)は神戸で生まれ、神戸市磯上通7丁目9番地で育ちました。

現在の神戸そごうの周辺と聞くと、ピンとくるかもしれません。

岡本神草は弱冠20年にも満たない画業(39歳という若さで亡くなりました)で完成品がとっても少なく、学芸員さんはこの展覧会を開催するにあたって本画と呼べそうなものを集めるのに苦労したそうです。

聞くところによると、岡本神草は大変なこだわり屋で、自分の中で“コレだ!”と決まるまでは何回も何回も作品に手を入れていたようです。

では、早速“こだわり屋さん”岡本神草の艶やかな女性像をご紹介しましょう。

こちらは、左から甲斐庄楠音《横櫛》(大正5年頃)京都国立近代美術館蔵、岡本神草《口紅》(大正7年(1918年))京都国立近代美術館蔵。

岡本神草の《口紅》という作品は実は神草の卒業制作作品。

ですが、卒業制作を展示するときには顔や着物の柄は未成だったと言います。

そのあと、神草はこの未成の作品に手を加え、1918年に結成されたばかりの国画創作協会の第一回展覧会(以下国展)会場でようやく完成品をお披露目することができたそうです。

実際にこの作品を見てみると、着物の“絞り”を立体的に表現するなど、神草の着物の表現へのこだわりが垣間見え、相当に時間のかかった作品であることが伺えます。

神草の隣に展示されている甲斐庄楠音《横櫛》は国展の第一回展で実際に展示された作品とは異なるものの、その時の作品に極めて近い作品と言われる作品です。

国展で隣同士に並べられたこの二つの作品は、受賞こそ叶いませんでしたが、“新しい女性像”として京都画壇に大きな影響を与えました。

こちらは、岡本神草《拳を打てる三人の舞妓の習作》(大正9年(1920年))、京都国立近代美術館蔵。

作品で描かれているのは、拳遊び(狐拳)のポーズを取る三人の舞妓です。

拳遊びとは、じゃんけんに類似した遊びで、指や腕を使って勝敗を競う遊びです。

神草はこの作品を、第二回国展への出品を目指して制作していたようですが、母親ソノの突然の訪問で制作を一時中断せざるをえなくなり、断念します。

そしてさらには、第三回国展にも完成が間に合わず、中央部分だけをバッサリ裁断して出品したそうです。

四角く区切られているところはその際に裁断したところです。

この作品からも、神草の“こだわり屋さん”具合が感じられるのではないでしょうか。

展覧会には、神草の写生画も多く展示されていています。

見ていると、「あ〜、可愛い♥」と思わずにやけてしまいますよ。

岡本神草《お貞子ちゃん写生5》(大正3年(1914年)、京都国立近代美術館蔵。

“お貞子ちゃん”という名前も可愛いですが、描かれているこの子もとっても可愛いですよね!

服を着せてもらってウルウルとこちらを見つめています。

ペットショップで、こんな風に見つめられたら連れて帰りたくなりますよね。

私の実家で飼っているコーギーに会いたくなりました。

最後に展覧会風景をご紹介します。

岡本神草の“こだわり屋さん”っぷりを是非会場でご体感ください。

 

♦展覧会情報♦

「岡本神草の時代」展

会場:京都国立近代美術館

会期:11月1日(水)〜12月10日(日)まで

開館時間:午前9時30分〜午後5時まで

ただし、金曜と土曜は午後8時まで

観覧料:一般1,000円、大学生500円

▶▶会期中、金曜と土曜はおトクな夜間割引があります。

午後5時以降に来館すると、観覧料が一般1,000円→800円、大学生500円→400円になります!

展覧会詳細はこちらをクリック





 

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この記事を書いているのは
たねもー

たねもー

大学院で美術関連の研究をしていました。絵画や美術館、歴史、文学などいろんなことに興味があります。わかりやすいアートの解説や、行ってみたくなる美術館の紹介など、アートを広める活動に尽力しています。

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