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≪つぶ≫を前にして 『福岡道雄 つくらない彫刻家』展

≪つぶ≫を前にして 『福岡道雄 つくらない彫刻家』展

およそ50 個のピンクバルーンとその影、黒い部屋に黒い蛾、と思えば一転してまぶしい白い部屋の中に、水面が彫られた風景彫刻・・・とドラマティックな展示の中を歩いていきます。「何をしても仕様がない」などネガティブな言葉が彫られた彫刻作品は、遠目で見ると滝が流れているようです。

少し息苦しさを感じ始めます。

そこに福岡さんの存在を感じたからでしょうか。会場を回る、つまり福岡さんの作家の軌跡をたどると、「つくる」と「つくらない」の間で揺れる苦悩や葛藤が潜んでいました。彫刻家として生きることに向き合う姿は、普段見ることのない作家の世界でした。

生み出された作品を鑑賞することは、作家のほんの一面に触れているだけなのかもしれません。その奥にあるものを忘れていることに気づきます。制作とは、作家とはを思い、さらに鑑賞することとは、一体何なのか、そんな自問自答が始まりました。

しかし、最後に展示されている≪つぶ≫を見た時、気持ちが和らいだ気がしました。自然光が差し込む場所で、静かに、そこにあったからです。
2012年、指先でこねて丸めているうちにできた≪つぶ≫。思いがけずできた作品は、最初に彼が手掛けた、砂に手を突っ込んで、できた穴の中に石膏を流し込んでつくる≪SAND≫に戻るのではなく、繋がった気がします。福岡さんの作家人生が、1つの「大きな環」となったように感じます。

この≪つぶ≫が飾られている台座は五角形をしています。五角形を調べてみると東洋思想では森羅万象を示すそうです。五角形の上にある≪つぶ≫は、全てを理解し、包み込んでいるということでしょうか。・・・それとも考えすぎでしょうか。
そう思いつつ、≪つぶ≫を前に、心が休まるのでした。

(※五角形については、私の考えすぎでした。)

 

福岡道雄 つくらない彫刻家
会 期 :~2017年12月24日(日)
開館時間:10:00~17:00 ※金、土曜日は20:00まで (入場は閉館30分前まで)
休館日 :月曜日

同時開催
態度が形になるとき -安齊重男による日本の70年代美術―

詳しくは国立国際美術館HPをご覧ください。→

カワタユカリ の紹介

じわじわと来年の展覧会情報が出始めています。それとともに、今年の展覧会ベスト10を言い始める人も…。今年の展覧会を振り返りつつ、気分は2018年へ。鬼が笑っています。
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この記事を書いているのは
カワタユカリ

カワタユカリ

美術大好き、年齢とは反比例の駆け出し美術ライターです。
現代アートを中心に、読むと行きたくなるような記事を書いていきたいと思っています。
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