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思わず近くで見たくなる。教科書で見たあの「鮭」に会える、「リアルのゆくえ展」が姫路市立美術館で開催中。

思わず近くで見たくなる。教科書で見たあの「鮭」に会える、「リアルのゆくえ展」が姫路市立美術館で開催中。

江戸時代といえば、葛飾北斎や、歌川広重をはじめとする浮世絵が有名ですよね。

江戸時代に続く明治時代には、西洋画に強い影響を受けた、写実的な作品が登場します。

それまで平坦で二次元的、デフォルメも当たり前の浮世絵に見慣れた人々にとって、どれほど衝撃的だったことでしょうか。

明治時代、高橋由一(「鮭」の作品が有名ですね)から始まったリアリズムは現代に至るまでどのような変遷を辿ってきたのでしょうか。

リアリズムの黎明期に当たる明治時代、高橋由一は20代半ばに西洋石版画の真に迫るような表現に感銘を受けて、洋画を勉強し始めます。

しかし当時はまだ、西洋画が十分に解明されていなかった時代。油絵の具も十分に手に入らない時代に、高橋由一を始めいろんな画家が西洋画に魅了され、“見よう見まね”で西洋画の習得に努めました。

そしてその20年後にようやく日本にも西洋画を学ぶことができる教育機関(工部美術学校)が誕生しました。日本の写実絵画に大きな転機が訪れたのです。

右から高橋由一《鮭》(制作年不詳)、磯江毅《鮭−高橋由一へのオマージュ−》(2003年)。

高橋由一の作品は明治時代のリアリズム黎明期の作品、そして磯江毅の作品は現代の作品です。

さて、この150年もの間、高橋由一から始まったリアリズムはどのような変遷を辿るのでしょうか?

■大正時代

こちらは岸田劉生《野童女》(1922年)。

岸田劉生といえば、自身の娘、麗子を描いた肖像画で有名ですね。

この作品に描かれているのは麗子が水桶を持っている様子です。生年月日から考察するに、麗子は8歳でしょうか。

水桶を楽しそうに持つ姿が印象的な作品です。

■昭和時代

こちらは、長谷川潾二郎《猫》(1966年)。

描かれているのは長谷川の愛猫、“太郎”です。

長谷川は実物を見ないと描けないタイプの画家だったそうです。

彼は猫がこの体勢になった時だけ筆を取ったそうで、ここまで仕上げるのに7年もかかったそうです。

しかし、そんな最中、太郎が寿命で亡くなってしまいます

未完で終わってしまうことを残念がった画家の友人が、仕上げてくれないかと持ちかけ、画家は頑張って仕上げようとしますが、どう頑張っても実物を見ずには描けなかったようです。

猫の口元に注目してみてください。

左のヒゲは描かれていますが、右のヒゲは描かれていません。

■現代

こちらは、上田薫《なま玉子C》(1976年)。

現代アートには写実絵画がないんじゃないか?と思われる方もいるかもしれませんが、実はアメリカのスーパーリアリズムの影響を受けてこうした作品も描かれています。

一瞬「え!?写真!?」って思うかもしれませんが、実は油絵の具とアクリル絵の具で描かれた絵画作品なんです!!!

黄身に反射した窓の表現、そして玉子の泡の表現などものすごくリアルですよね。

思わずご飯にかけて食べたくなります・・・。

最後に展覧会風景をご紹介します。

こちらは写実が導入された明治時代の黎明期を紹介するコーナーです。

こちらは現代の写実を紹介するコーナーです。

写真があって当たり前の現在。

写真に写らない“何か”を画家たちはどのように描こうとしてきたのでしょうか。

写実を超えたところにある“何か”を是非会場でご覧ください。

 

♦展覧会情報♦

「リアル(写実)のゆくえ−高橋由一、岸田劉生、そして現代につなぐもの−」展

会期:9月23日(土)〜11月5日(日)

会場:姫路市立美術館

休館日:月曜日(ただし10月9日は開館)、10月10日(火)

観覧料 一般:1000円、大学・高校生:600円、中学・小学生:200円

展覧会詳細はこちらをクリック



 

 

 

 

 

 

カテゴリー: 未分類, +創る, +展覧会, +街角   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク
この記事を書いているのは
たねもー

たねもー

大学院で美術関連の研究をしていました。絵画や美術館、歴史、文学などいろんなことに興味があります。わかりやすいアートの解説や、行ってみたくなる美術館の紹介など、アートを広める活動に尽力しています。

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