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原点に返る建築 『藤森照信展 自然を生かした建築と路上観察』

原点に返る建築 『藤森照信展 自然を生かした建築と路上観察』

ねむの木こども美術館浜松市秋野不矩美術館が同じ建築家で設計されたことを知り、『藤森照信』という名を知りました。前々回のあいちトリエンナーレで宙づりの茶室を見た時は、あまりの突拍子もない物体の出現に、口をあけたまま立ち止まってしまった記憶があります。

今、『藤森照信展 自然を生かした建築と路上観察』が、広島市現代美術館で開催されています。

去年オープンした「多治見市モザイクタイルミュージアム」の写真、模型やスケッチから展示は始まります。タイルを使ったすだれが何とも言えない楽しさを醸しだしています。これは、展覧会開催前にワークショップが開かれ、一般の人たちと一緒に作られたものです。

実際に建築物を手掛けるときも、施主と共に木を伐採にいったり、知り合いを集めて屋根に植物を植えたりしていたことを、『藤森照信読本』(株式会社エクスナレッジ発行)で読んだ記憶があります。このワークショップも、それの延長線上なのでしょう。きっとその日の現場は楽しかっただろうな。笑い声が聞こえてきそうな空間です。



一度見たら、忘れられないような建築物。それらの屋根や壁の素材見本が飾られていたり、スケッチがあったりと、足どりが弾みます。また実際に入ることのできる茶室もあり、藤森建築を堪能できます。



そしてもう一つの顔、『路上観察学会』での活動も、写真や映像で展示されていて、鑑賞者から笑いが起こっていました。





建築史家でキャリアを積み、44歳ではじめて建築家としてデビューし、「自然素材を現代建築にどう生かすか」「植物を建築に(庭ではなく)どう取り入れるか」の2つのテーマに取り組まれています。

現代建築と緑(自然)は対極にあると思うのですが、それを1つの住空間にまとめるとなると、譲れる点、譲れない点の距離も遠く、妥協するポイントに辿り着くのが難しかったのではないかと想像します。何枚ものスケッチと、そこにかかれた飄々とした文字とメモが物語っています。

赤瀬川原平さんが、ある本で「藤森さんは頭に行動力がある」と言われていました。単純に唯一無二なものを作ろうとしているのではなく、自然を町に戻そうという強い思いが、行動力となって、私たちの目の前に現れていることを知ります。

手を動かす。緑と暮らす。少しずつでも進む。人間の生活に必要なことは意外に簡単なのかもしれません。



 

藤森照信展 自然を生かした建築と路上観察
会期:~2017年12月3日(日)
時間:10:00~17:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(10月9日を除く)、10月10日


詳しくは広島市現代美術館HPまで⇒
藤森照信展公式サイト ⇒

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じわじわと来年の展覧会情報が出始めています。それとともに、今年の展覧会ベスト10を言い始める人も…。今年の展覧会を振り返りつつ、気分は2018年へ。鬼が笑っています。
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この記事を書いているのは
カワタユカリ

カワタユカリ

美術大好き、年齢とは反比例の駆け出し美術ライターです。
現代アートを中心に、読むと行きたくなるような記事を書いていきたいと思っています。
よろしくお願いします。

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