ライターブログトップへ

 『森末由美子展「うつつを抜かす」』 

 『森末由美子展「うつつを抜かす」』 

「む」 ハンカチ・まち針 2017年 22.5×11.5×5.5㎝

 

大阪市浪速区にあるギャラリーほそかわで10月21日(土)まで開催されている『森末由美子展「うつつを抜かす」』をご紹介します。

彼女の作品は、例えば、刺繍が施されたザル、穴をあけたガラスコップを編み込んだレースのテーブルクロス、本をやすりで磨いて形を変えたものなど、大胆さと繊細さの両方が味わえ、驚きと新鮮さを、いつも私たちに与えてくれます。
(森末由美子さんのHPで作品の一部をご覧いただけます。→



「を」 かすあげ・まち針 2017年 32×12×14㎝/「ふ」 あくとり・まち針 2017年 20.5×7.5×7.5㎝
 

今回の作品の1つです。すくい網に白い糸で刺繍? いえ、文字を作っているのは、待ち針です。きれいに形作られた文字と、突き抜けている針。このギャップにグッときます。

また、彼女の作品には、よく文字が登場します。森末さん曰く「文章から切り取った文字を交換可能な記号として捉えている」そうです。作品の中の日用品も、本来の意味をなさないものに変化し、存在しています。「あるけど、ない。ないけど、ある。」現実から離れていくような感覚に、心が弾みます。

今回の展覧会は、まずタイトルが先に決まったと森末さんに教えていただきました。慣用句として使われる『うつつを抜かす』という言葉が、今までの作品や制作工程と重なることに気づき、そこから、この言葉を意識して作品を作られたそうです。
日常にあるもの=うつつ(現)に、小さな穴など、意図してあけた箇所は、抜け道となります。空気や視線が抜けた先には、非日常的な浮遊感を感じます。夢の中のような世界は、居心地が良かったり、時には不安になったりもしますが、彼女の作品の中にいると、現実と非現実の間を、ゆっくりと行き来している自分に気づかされます。現の世界で、しっかりと立っている作家、森末さんの掌で、ゆらゆら気持ちよく揺られながら、安心感、安定感を感じているのだと思います。



うつつ(現)とは、この世に実際に存在しているもの、意識や知覚がはっきりしている状態、
現実、正気、生などを意味するそうです。
では、「うつつ」を抜いてしまうとどうなるのでしょう。
現実を抜かす、存在を抜かす、はっきりした意識や知覚を抜かすー
うつつを抜かした世界のありようを知りたいと思います。

森末由美子



森末由美子展「うつつを抜かす」
Yumiko MORISUE | Stepping outside Reality

会期:~2017年10月21日(土) 日、月、祝休み
時間:12:30~18:30
場所:ギャラリーほそかわ 詳しくはHP参照

カワタユカリ の紹介

芸術の秋、楽しんでいらっしゃいますか。まだまだ展覧会盛りだくさん。寒くなっていく季節ですが、体調に気を付けてください。
カテゴリー: +展覧会   パーマリンク
この記事を書いているのは
カワタユカリ

カワタユカリ

美術大好き、年齢とは反比例の駆け出し美術ライターです。
現代アートを中心に、読むと行きたくなるような記事を書いていきたいと思っています。
よろしくお願いします。

コメントは受け付けていません。