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次へのバトン (伊丹市立美術館『鬩』展を再び)

次へのバトン (伊丹市立美術館『鬩』展を再び)

7月8日から始まった伊丹市立美術館でのO JUN×棚田康司『鬩』展が、あと2日で終わろうとしています(執筆時は8月25日)。そして会期中に、O JUNさんの自画像、そして棚田康司さんの自刻像が生まれました。どんな作品ができたのか、そして作家棚田さん自身、何を感じているのかを知りたく、再び展覧会場へ向かいます。



アトリエとして使われていた展示室には、完成間近な自刻像がありました。自画像、自刻像という響きは、なぜか暗かったり、こちらを睨みつけるようなまなざしを感じたりするイメージがあるのですが、作品は、予想を裏切るように、ちょっとユーモラスに思える軽さがありました。今回は「そのままを、誠実に作品を作った。自分自身を作った。」という棚田さん。今回の担当学芸員の岡本さんも、「真っ正直に、誠実に、嘘偽りのない作品です。」と話されます。さらに、棚田さんは、一緒に公開制作に励んだO JUNさんへの誠意、彼の作品とのバランス、また棚田さん自身の内面を見続けたことなどを話してくださいましたが、誠実に作品を作るとは、どういうことなんだろうと、しっくりこないまま、話を聞いていました。

「そのままをみせる。生々しさを感じてもらいたいから、最終日まで制作している姿を見せたい。」棚田さんは強く話されます。作品をみせるだけではなく、人間が手で作るものを見てもらいたい。「そのまま、誠実に」というのは、今を生きることをみせる意味だと気づきます。「生きる」姿に嘘を混じらせるわけにはいきません。

「展覧会は、観て完結してしまうものっておもしろくないじゃないですか。もうちょっと先をみてみたいなぁ、この作家はこれからどうなるのかなぁ、なんて余韻が残る展覧会がおもしろいんじゃないかと、今回の打ち合わせでよく話してたんですよね。作家のこれから、この作品の行方など自然とコミュニケーションが生まれ、先へ先へと向くような展覧会をしたいなと思ったんです。」と岡本さんも、まっすぐに話してくださいます。今を生きる者同士、前を向いていこうと教えてもらいます。

鬩ぐことは生きること、なのでしょうか。

前回来た時には、充満していたクスノキの香りが、すでに消えていることに気づきます。もう次へと向かっているんですね、この展覧会を通過点として。



棚田さんと、担当学芸員の岡本さん



※O JUN×棚田康司『鬩』展は、8月27日(日)に終了しました。

次回の伊丹市立美術館の展覧会情報
『並河靖之七宝展 明治七宝の誘惑・透明な黒の感性』
会 期:2017年9月9日(土)~10月22日(日)
開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日 :月曜日(9月18日、10月9日は開館。各翌日は振替休館)
詳しくは、伊丹市立美術館まで

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芸術の秋、楽しんでいらっしゃいますか。まだまだ展覧会盛りだくさん。寒くなっていく季節ですが、体調に気を付けてください。
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この記事を書いているのは
カワタユカリ

カワタユカリ

美術大好き、年齢とは反比例の駆け出し美術ライターです。
現代アートを中心に、読むと行きたくなるような記事を書いていきたいと思っています。
よろしくお願いします。

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