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ありがとう!「はらぺこあおむし」そして 絵本作家 エリック・カールさん。

ありがとう!「はらぺこあおむし」そして 絵本作家 エリック・カールさん。

 

美術館「えき」KYOTOエリック・カール展が開催中です。エリック・カールって誰なの?と中にはいらっしゃるかもしれませんが、絵本『はらぺこあおむし 』は誰もが一度は手にしたベストセラー絵本、そしてエリック・カールはその絵本の作家さんです。夏休み企画!お子様向けの絵本の展覧会かと思いながら出かけてみると、勿論、小さなお子さん連れが多いのですが、実はそのママさんたちが惹きこまれて見入ってしまう展覧会なのです。

彼女たちも小さな時に手にした懐かしい思い出がいっぱい詰まった絵本の原画の展覧会です。

こんなに色が鮮やかだったかしら?透明感のある色彩があふれる絵本です。その秘密は、どうもその手法にあったようです。「コラージュだったのか・・・」と。

エリック・カールは、ブログの自己紹介の中で“・・・My illustrations are collages made with my own hand-painted tissue papers,・・・”この「tissue papers」がいかなるものなのかはわからないのですが、自分で色を塗った紙を貼り合わせて作っていくようです。発色がとてもよくて、不思議な色の世界が出来上がっています。

エリック・カールは、1926年アメリカのニューヨーク州で生まれました。ドイツからの移民であった両親と6歳の時にドイツへ移住します。その頃のドイツはヒットラーが台頭し、第二次世界大戦へ向かう時期に10代を過ごしました。「退廃芸術」として禁じられていたピカソやマティス、カンディンスキー、クレーなどの複製を美術教師から見せられて大きな衝撃を受けたそうです。その衝撃は、彼の鮮やかな色彩に大きく影響することとなったそうです。

シュトゥットガルト州立芸術アカデミーでグラフィックデザインを学び、卒業後広告デザインの仕事につきますが、時代的背景もあったのでしょう195223歳で単身アメリカに帰国します。あの『スイミー』で有名なレオ・レオニーの紹介で、グラフィックデザイナーの仕事を始めました。人は人との出会いが重要なターニングポイントとなるものですね。1950年代に制作された都会の風景の“リノカット” のシャープな作品も紹介されています。

1967年『くまさん、くまさん なにみてるの?』から絵本の仕事が始まりました。子供たちは動物が大好きです。絵本の動物たちの性格付けはどこからきているのかしらと思ってしまいます。馬は青く、猫は紫と色々な色を使って表現されています。「絶滅危惧種」の動物を取り上げたり、地球環境への思いもそっと込められています。『はらぺこあおむし』は、絵本作家となって早い時期に制作されました。あおむしが毎日いろいろなものを食べて大きくなっていきます。“あおむしが“食べたあとを絵本に穴をあけた表現にする発想がアメリカでは難しく、日本で印刷されたそうです。お家にある絵本を見つけると小さなお子さんたちも嬉しそうで目が輝きます。

『ゆっくりがいっぱい!』と『とうさんはタツノオトシゴ』は「色がきれい!!」と惹き寄せられました。『ゆっくりがいっぱい!』は、ゆっくりおっとりのんびりなナマケモノくんが主人公です。「早くしなさい!」が口癖の大人たち、そんな大人たちも「早くしなさい!」が大嫌いだったはず。『モモ』の気持ちが分かったはずのママたちが、今は「早く!」とつい言ってしまっているかも。

数字や文字や時間も、カラフルに彩られた生き物として表現されていました。次々と先に進むうちに・・・
嫌いな食べ物も美味しく食べられそう。

親の嬉しい思惑も見え隠れします。

『ゆめのゆき』では、

エリックの手書きによる習作と最終原画が並べて展示され、

最初の発想がどのように仕上がるのかが分かりとても興味がわきました。



『パパ、お月さまとって』

とても可愛いお話です。

大きなお月様と小さなパパの対比がなんともグッときました。

 

10代の頃エリックにとって大きな存在であった

「青騎士」のフランツ・マルク

2011年の絵本『えをかくかくかく』を捧げています。

躍動的な動物の表現が印象的なマルクに通じるものを感じました。

『ぼくのエプロン』では、太い輪郭線と力強い働く人がフェルナン・レジェ

『ぼくのエプロン』




『ナンセンス・ショウ』



最新作の『ナンセンス・ショウ』では、

ルネ・マグリットの《イメージの裏切り》を掲載し、

ナンセンスを繰り広げる絵本となっているそうで、

近代の画家からも絵本の発想を得ています。



エリックは、音楽一家に育ち自分自身もバイオリンを奏でたクレーも大好きだったのでしょう、『うたがみえるよきこえるよ』はクレーを思わせる作品となっているそうです。88歳となったエリックの最新作は、ダンボールなどで制作した「天使」の造形は、クレーに捧げるオマージュだそうです。



ここまできて、エリックと私は趣味が合う?私もクレーの天使が大好きで谷川俊太郎さんの『クレーの天使』を眺めています。

お気づきになっているでしょうか。エリック・カールの絵本の表紙と最後にカラフルなページがあることを。エリックが物語の内容に合わせて手作りしています。お子さんたちは、表紙や裏表紙を見れば、どの絵本かがわかっているかもしれません。

エリック・カールは、アメリカ初の絵本美術館をオープンされたそうです。そのきっかけとなったのが日本の絵本の美術館だそうで、「いわさきちひろ」の美術館だったのでしょうか。

子供たちは、お気に入りの絵本を繰り返し読みます。素敵な絵本を選んであげたいと思います。お子さんと一緒に見に行っても、ちゃんと見ていなかったなどとご心配なく!こどもたちはちゃーんと見ていましたよね。お家に帰ると大人が気づかなかったところまでちゃんと気づいていることに驚かされます。

エリック「はらぺこあおむし」をありがとう。と、言いたくなるようなとっても温かな気持ちになる展覧会でした。夏休みにお子さんと一緒に是非お出かけください。

 



【開催概要】「エリック・カール展」
・期間:2017729日(土)〜827日(日)
・時間:10:0020:00 ※入館は19:30まで 会期中無休
・会場:美術館「えき」KYOTO HPhttp://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/index.html
・料金:一般800円、大高生600円、中小生400
・公式エリック・カール展 Twitter:⇒
【参考】
The Eric Carle Museum of Picture Book Art”URL:http://www.carlemuseum.org/
ERIC CARLE’S BLOGhttp://ericcarleblog.blogspot.jp/
・『MOE20178月号[エリック・カール はらぺこあおむしはなぜ売れたのか?]
・絵本 よみきかせ隊 YouTubehttps://www.youtube.com/channel/UClRtHr7BrTguDNsD_fApsoQ

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ARTが好きなのか?美術館に行くのが好きなのかしら? 行きかけると拍車がかかって、前のめりになっている今日この頃かもしれません。 「知らない」「???」が増えるばかりです。
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MUSEUMコンシェルジュになりたいが、ARTには全くの素人。山間部育ち、専攻は「東洋史」、ただただ美術館へお出かけするのが大好きな私が、阪神間の美術展、アート関連施設やアートイベントなどについてアートへの思いを綴ります。つたない文章ですが、読んでくださる方々が、お出かけしてみようかなと思ってくださるきっかけになればと思っております。

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