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背筋が凍る、真夏の美術館。怖すぎる「怖い絵」展が始まった! @兵庫県立美術館

背筋が凍る、真夏の美術館。怖すぎる「怖い絵」展が始まった! @兵庫県立美術館

西洋美術史に潜む「恐怖」を皮切りに作品をわかりやすく解説する、中野京子著の『怖い絵』シリーズ

これを読んで西洋美術ファンになった方も多いのではないでしょうか。

「怖い絵」シリーズの第1巻刊行から10周年を記念して、兵庫県立美術館では、「怖い絵」展が開催中です。

近代に至るまで、西洋美術は、歴史やキリスト教、ギリシャ神話を主題として描かれてきましたが、中には、鑑賞者の背筋が凍りつくような、ゾクゾクするこわーい絵がたくさんあります。

では早速、「恐怖」を元に名画の魅力を読み解いていきましょう。

こちらは、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《オデュッセウスに杯を差し出すキルケー》(1891年)オールダム美術館蔵。

この作品に描かれているのは、『オデュッセイア』に登場する、アイアイエー島の主キルケーと運悪く島に漂着してしまったオデュッセウスが対面する場面です。

キルケーは右手に杯を持ち、左手には酒を飲んだ男を動物に変えてしまう魔法の杖を持っています。

彼女の足元を見てみると、そこにはキルケーによって豚へと変えられてしまった、部下が四人も描かれています。

こちらは、左から、チャールズ・シムズ《クリオと子供たち》(1913年、1915年加筆)ロイヤル・アカデミー蔵、チャールズ・シムズ《そして妖精たちは服を持って逃げた》(1918-19年頃)リーズ美術館蔵。

左の作品、一見、のどかな風景を描いた作品に見えますが、子供たちの視線の先に目を向けると、古代風の衣服をまとった女性が何やら巻物のようなものを膝に置き、子供たちへ何か語りかけています。

シムズはもともと、歴史を司る女神クリオが子供たちへ物語を語って聞かせる場面を描こうとしていたようですが、第一次世界大戦によって自分の息子を亡くすという悲劇に見舞われ、1915年にクリオの巻物を血の朱で染めて、不気味な作品にしてしまいました。

右から、フォード・マドックス・ブラウン《ユングフラウのマンフレッド》(1841-61年)マンチェスター美術館蔵、ジョージ・スタッブス《ライオンに怯える馬》(1770年)ウォーカー・アート・ギャラリー、リバプール国立美術館蔵、フィリップ・ライナグル《ハイエナと争う鷲と禿鷹》(1801年頃)ロイヤル・アカデミー蔵。

この三作品はどれも生と死の葛藤をテーマにした作品です。

ここでは、一番右にある、ブラウンの作品をご紹介しましょう。

《ユングフラウのマンフレッド》という作品では、英国ロマン主義の詩人バイロンが著した『マンフレッド』という劇詩の中の、主人公のマンフレッドがユングフラウの断崖絶壁から身を投げようとしている場面が描かれています。

マンフレッドは、突風が吹く中、頭を抱え、早く飛び込んでしまいたいと思いながらも、体が言うことを聞かないといった様子です。

崖の端で何度も迷い、足を踏み出したのでしょうか、足元の雪がたくさんの足跡で乱れています。

こちらは、フィリップ・ハモジェニーズ・コールドロン《何処へ?》(1867年)ロイヤル・アカデミー蔵。

16世紀風の衣装を身につけている男女はアン・ブーリンがかつて幼少期を過ごしたと言われる古城ヒーバー城の楼門を通り、何処かに向かって歩いています。女性を案内している男性の表情は固く、ただ前だけを見つめ、女性は何処に連れて行かれるのか不安に苛まれているようです。

まるで助けを求めるかのように

こちらはポール・ドラローシュ《レディ・ジェーン・グレイの処刑》(1833年)ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵。

チラシにも使われているこちらの作品は、サイズが2.5×3mと大変大きく、見る者を圧倒する存在感があります。

ヘンリー8世の姪の娘として生まれたばかりに政界の権力抗争に巻き込まれ、女王になったのもつかの間、在位わずか9日間で対抗勢力に捕らえられ、処刑されてしまいました

描かれているのは、処刑される寸前のシーン。

ジェーン・グレイは死に怯えるでもなく、動揺も見せず、ただ静かに死につこうと、首置台を手探りしています。

右の方にいる大きな斧を持っているのは、死刑執行人です。

ギロチン発明前の斬首は失敗することが多かったらしく、彼が腰に携帯するナイフはそれがうまくいかなかった時に首を削り落とすためのものだそうです。

 

最後に展覧会風景をご紹介します。



 

会場内には、ゴヤやクリンガーのエッチング、ルドンのリトグラフのシリーズも展示されています。

こちらもお見逃しなく!

さて、この展覧会では、すべての作品の題名や作者が書かれた通常のキャプションの上に、キャッチーな見出しがつけられています。

中には、「お前ももう死んでいる」といった、どこかで聞いたことのあるような見出しもあります。

こちらも合わせてぜひご覧ください。



こちらはお土産コーナーです。

ポストカードコレクター必見です!

この展覧会のポストカードにはすべて中野京子さんの作品解説が付いています!

自分のお気に入りの作品のポストカードを買って、プチ解説本を作ってみませんか?



ついつい欲しくなっちゃうのがトートバッグ。

こちらはビアズリーが手がけた挿絵の《踊り手の褒美》(1894年)のサロメがモチーフとなっています。

何回見ても欲しい!!

こちらもぜひチェックしてみてください。

 

展覧会会場にはこんなフォトスポットがありました。

展覧会を見終わったら、ぜひ女王キルケー様と写真を撮って帰ってください。

 

♦展覧会情報♦

「怖い絵」展

会期:2017年7月22日〜9月18日

於:兵庫県立美術館

金曜・土曜だけ20時まで開館しています。

土・日・祝日は混雑するため、金・土の夜間開館時間(入場19時半まで)がオススメです。

展覧会詳細はこちらをクリック

 

 

カテゴリー: 未分類, +キッズ, +体験, +展覧会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク
この記事を書いているのは
たねもー

たねもー

大学院で美術関連の研究をしていました。絵画や美術館、歴史、文学などいろんなことに興味があります。わかりやすいアートの解説や、行ってみたくなる美術館の紹介など、アートを広める活動に尽力しています。

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