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お洒落な芦屋で“ART”と触れ合う @芦屋市立美術博物館

お洒落な芦屋で“ART”と触れ合う @芦屋市立美術博物館

『交差するアーティストたち-戦後の関西が芦屋市立美術博物館で始まりました。絵画、立体、関係資料など館蔵品80点あまりで構成される戦後の関西の美術動向を見る展覧会となっています。自由な表現が抑圧されていた戦争が終結し、大阪から神戸の阪神間でアーティストたちはどのような新しい表現を追究していったのでしょう。彼らは、戦前の団体を再興したり、新たなグループを結成したりと、離合集散を繰り返し、交流し、互いに刺激を受けながら活動していました。地域ゆかりの長谷川三郎、吉原治良、津高和一の3人をキーマンにその周辺のアーティストの作品を紹介しながらその足跡を辿る展示となっています。

1 長谷川三郎(1906-1957)とその周辺

これが長谷川三郎の作品かと認識したのは、昨年春BBプラザ美術館で開催された『甲南学園ゆかりの作家たち 長谷川三郎と菅井汲 抽象への眼差し』だったように思います。

長谷川三郎は、下関に生まれますが、父親の転勤に伴い神戸⇒芦屋へと転居し、甲南中学に進学します。大阪にあった信濃橋洋画研究所小出楢重に師事しました。



小出楢重 《横たわる裸女A》1928、《芦屋風景》1928頃




その後東京帝国大学で美術史を専攻し卒業論文のテーマは「雪舟」、日本や中国の伝統美術、東洋的な思想関心が向くようになったそうです。私が知っている画家との交流でいうならば、山口薫らと「新時代洋画展」を、銅版画家の浜口陽三瑛九らと「自由美術家協会」を結成しています。戦後、吉原治良らと「日本アヴァンギャルド美術家クラブ」に、他のジャンルの人たちと「転石会」で語り合い、中村真らと「モダンアート協会」を設立するなど目まぐるしく活動しています。イサム・ノグチとの出会いは、「日本の伝統的な芸術に潜在する精神性の表現」への思いを決定的なものとし、油彩画制作を止めて、版画、拓本、水墨の作品を制作するようになりました。1953年には、吉原治良や版画家 恩地幸四郎らと「日本アブストラクト・アート・クラブ」を設立して日本の抽象表現を牽引しますが、再渡米後サンフランシスコで51歳の生涯を終えることになりました。戦前戦後を通して長谷川三郎は、多くの芸術家と交わり、日本の伝統と前衛を考え続けた人であったようです。

今回の展覧会で私が一番惹かれた作品が、瑛九

ゼラチンシルバー・プリント

《フォトデッサン集『真昼の夢』》です。

小さなモノクロの画面に様々な表現を感じる作品ではないでしょうか。




2 津高和一(1911-1995)とその周辺

津高和一は、「信濃橋洋画研究所」を改称した「中之島洋画研究所」に戦中から通い、戦後は美術に関するディスカッションの会「会ヴァリエテ」のメンバーとなり、そのまま「現代美術懇談会(ゲンビ」の中心人物として参加します。吉原治良や須田剋太などと親交を深めました。

津高の活動で注目したいのは、1962年からの西宮の自宅での「対話のための作品展」の開催です。その後夙川公園を会場に「架空通信テント美術館」としてアンデパンダン方式で募集した作品を展示しました。この模様は1Fにて資料写真が映像で紹介されており、この地域ではお馴染みの夙川でこの交流活動が行われていたのですね。解説によれば「独自な造形表現を、気取らない日常の空間で、自由で活発な対談と交流の場にしたい」との願いを込めたとありました。

津高の間口の広い交流がうかがえます。津高が1995年の震災の犠牲者であったことにも、この地に住む我々は忘れてはならないことかもしれません。

3章 吉原治良(1905-1972)とその周辺

この美術館を代表するのが、なんといっても「吉原治良」でしょう。「具体美術協会」は、戦後の日本の前衛芸術や抽象表現を牽引するものであったと思います。昨年京都国立近代美術館で開催された『あの時みんな熱かった!アンフォルメルと日本の美術』を観て、もともと書や水墨など東洋の芸術は「アンフォルメル」を受け入れやすい土壌があったとの指摘に納得し、「具体」の活動と戦後日本に起こった“アンフォルメル旋風”は、シンクロするところが多かったと感じます。流石、本家の美術館で「具体」の作品展示が充実しています。

吉原の「人の真似をするな、今までにないものを作れ」との思想は、具体のメンバーに大きな刺激を与え続け、インパクトのある作品が次々と世に出、関西だけでなく日本を牽引したように思います。今、その作品を目の前にしても作品の持つ迫力が伝わってきます。

芦屋といえばなんといっても「具体」の活動が上げられるわけですが、今回の展示から「信濃橋洋画研究所」が気になりました。その辺の所は、全く知識もないのですが、阪神間と京都には別の流れがあった様に受け止められ、大阪から神戸に在住する洋画家にとって注目していくべき“keyword”ではなかっただろうかが私の感想です。

1Fでは『芦屋の歴史と文化財』が同時開催されています。

かの“六麓荘”が高級住宅地になる経緯や、近くを走る阪神電車の記念乗車券など、近代の芦屋の歴史が特に興味を惹きました。



金津山古墳《鶏形埴輪》

可愛くもあり、

現代アートの横にあっても違和感がないような・・・
【開催概要】交差するアーティストたち-戦後の関西
・会場:芦屋市立美術博物館(芦屋市伊勢町12-25
・期間:2017715日(土)〜918日(月・祝)
・時間:10:0017:00 ※入館は1630まで
・休館日:月曜日 ※ただし、7/179/18は開館、7/18()休館
・観覧無料の日:7/29()8/15()9/3()
・料金:一般500円、大高生300円、中学生以下無料

【関連イベント】
・講演会「関西の前衛1930年代~60年代」
日時:7/30() 14:00 (1時間半程度予定) 講師:河﨑晃一氏(甲南女子大学教授)
場所:講義室/参加費:無料(要展覧会チケット)
・子供のためのワークショップ:定員50名(先着順)
日時:8/12() 14:00 (1時間半程度予定) 講師:堀尾貞治氏(美術家、元「具体美術協会」会員)
対象:3歳~8歳(小学2年生まで)※要保護者同伴
会場:体験学習室、前庭など/参加費:無料/事前申込不要
・担当学芸員によるギャラリートーク
日時:8/5()9/2() 14:00 (1時間程度)
参加費:無料(要展覧会チケット)
【参考】

licoluise の紹介

ARTが好きなのか?美術館に行くのが好きなのかしら? 行きかけると拍車がかかって、前のめりになっている今日この頃かもしれません。 「知らない」「???」が増えるばかりです。
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この記事を書いているのは
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licoluise

MUSEUMコンシェルジュになりたいが、ARTには全くの素人。山間部育ち、専攻は「東洋史」、ただただ美術館へお出かけするのが大好きな私が、阪神間の美術展、アート関連施設やアートイベントなどについてアートへの思いを綴ります。つたない文章ですが、読んでくださる方々が、お出かけしてみようかなと思ってくださるきっかけになればと思っております。

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