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日仏の極められた技の共演!“ヴァン クリーフ&アーペル“今年は京都で開催!

日仏の極められた技の共演!“ヴァン クリーフ&アーペル“今年は京都で開催!

『技を極める ヴァン クリーフ&アーペル ハイジュエリーと日本の工芸』が京都国立近代美術館で開催中です。

オープニングの記者内覧会にも参加させて頂きました。華やかで、インターナショナルな記者発表にドレスコードがあったのではないかと、ちょっと腰がひける思いでした。

それもそのはず、“ヴァン クリーフ&アーペル“は、大規模な展覧会を近年、年に1ヵ国、1都市、1美術館で開催しており、

2017年はこの京都展が世界で唯一の展覧会ということです。

当日は、会場の雰囲気にぼぉ~となり、フワフワとした感じのまま美術館を後にしました。

今回の展覧会は「職人の技」に注目した展覧会であることが重要で、それも伝統工芸の地である京都で開催されていることが重要です。

ファッションとか宝飾とかに、物凄く疎くて、そもそも「ハイジュエリー」って何?「ジュエリー」とは何が違うのでしょう?その違いは一目瞭然なのだそうです。「ジュエリー」は見た目にも美しくよくできているなといった印象であるのに対し、「ハイジュエリー」は、「美しいのは当たり前、技術的に優れ、通常の技術を超えた技術を駆使し、石も時間をかけて見つけてきた石を使っている、全てにおいて高品質で、見る人に強い感動を与えるもの」と“ヴァン クリーフ&アーペル“工房長グレゴリー・ウェインストックさんは答えておられます。“ヴァン クリーフ&アーペル“は、当然ながら”1点ものユニークピース」、世界に一つしかない、そのためにデザイン、石を捜し、高度な技術と時間・・・お高いはずです。

“ヴァン クリーフ&アーペル“の技法で特筆すべきものは3つあります。

“ヴァン クリーフ&アーペル“といえばの「ミステリーセッティング」。石を支える爪の部分を表から見せない特殊な技術で、10分の何ミリという超精密世界を動かす魔法のような手わざは経験豊富な宝石細工師だけに許されています。この工程は是非展覧会場の映像でご確認ください。会場内のインターバルの壁には大きく拡大されたハイジュエリーの写真、これだけ拡大されても隙間がない!のは、ミステリーセッティングの技術だからだと伺いました。(凄い!)

純金のジップ」ジップの11つが手作りです。ジッパーが実用品として発明された1938年頃ウインザー侯爵夫人からの提案で、1951年に実現したものだそうです。侯爵夫人が実際に身に着けたものではないそうですが、ジップを開ければネックレス、閉じればブレスレットに使える。

スプーンと呼ばれる小さなパーツの右と左の凹凸が嚙み合うように最終的には手作業で作り上げられている。信じられないほどの究極の技の世界です。

展示の中でバレリーナの愛らしいアクセサリーをたくさん目にします。しかしどれとして同じものはありません。蝋型成型、スカルプチャー(彫塑)と呼ばれる技法です。“ヴァン クリーフ&アーペル“の職人たちは、流石に手先がとても柔らかで、だれもがデリケートな蝋を扱うことが得意だそうです。バレリーナのアクセサリーの指の動き、足先、体の捻り具合など繊細な作りも見どころの一つです。

会場は、建築家 藤本壮介氏がデザインされています。これまでの美術館での展覧会とは一味も二味も違った印象になっています。

展覧会は、3つの章に分かれています。

1章「ヴァン クリーフ&アーペル」の歴史

高級寿司屋のカウンターのイメージの檜の一枚板に“ヴァン クリーフ&アーペル“のアーカイブ、創業時から現在までの作品ががずらっと並びます。(一列に展示故にここが混みます)

1895年宝石カット職人の息子アルフレッド・ヴァン クリーフと宝石商の娘エステル・アーペルが結婚し、1906年にパリ ヴァンドーム広場に「ヴァン クリーフ&アーペル」を創業しました。

しかし、一番最初に展示されているのは創業前の《マグダラのマリアのブローチ》です。このブローチは「マイクロモザイク」この技法が“ミステリーセッティング“のヒントになったそうです。「なるほどぉ~」創業時1906年の作品はないのですが、1907年の《ヴァルナ ヨットのミニチュア》「呼び鈴」です。線をつないで煙突を押す仕掛けになっているそうです。1925年パリで開催された「現代装飾技術・産業美術国際博覧会」(アール・デコ博)に出展された《薔薇の花のブレスレット》が大賞を受賞し、国際的に認められるきっかけとなりました。1956年モナコ大公とグレース・ケリー成婚の際にジュエリーセットを贈り、モナコ公国の公式御用達となったそうです。「鳥かご」なんていうのもあったり、90年代以降は「個人蔵」も多かったです。Σ(゚Д゚;エーッ!

第2章 超絶技巧の日本の工芸と“ヴァン クリーフ&アーペル“のハイジュエリーの共演

大広間の襖や障子を開けながらどんどん先に進んでいくような展示風景、ガラスの展示ケースが層になり、奥のケースが幾重にも映りこみ奥行きを感じます。

明治期の「超絶技巧」と呼ばれる、自在置物の龍の動きはハイジュエリーのブレスレッドの腕に自在にフィットする作りに通ずるかもしれない、並河靖之の有線七宝《蝶に花丸文飾壷》《四季花鳥図名刺入》で描かれた細やな花や蝶はハイジュエリーのモチーフに通ずるものがあるのではないだろうか、黒地に描かれたモチーフの色使いも相通ずるものがありそうです。

女性のバックの中は小物が多い、そこでとっても機能的に収納できる“ヴァニティケース”と“ミノディエール”が魅力的でした。セレブリティはバックの中をごそごそと捜したりはしない。

この章ではエジプト王室の伝説のロイヤルジュエリーが展示されています。デザイン先にありきで捜されたダイヤモンドが光り輝くコルレット》、芍薬の花が少ししな垂れた表情を”魅せる”《芍薬のクリップ》複雑な形状 に沿うルビーのミステリーセッティングの花びらに驚きです。大きな緑のエメラルドが10個もぶら下がり、ダイヤモンドと組み合わされた コレット》もお見逃しなく!

第3章 現在の日本の工芸家の作品とハイジュエリーのコラボ

独立したアクリルケースが竹林のように林立し、その間を縫ってコラボレーションを楽しみます。背の高い独立ケースの中に宙に浮くように展示され、四方から眺めることができます。

この章ですぐに目にする《ードクリップ&ペンダント》鳥がくわえる「イエロー&ホワイトダイヤモンド」の大きさにドキリ!もしも、手のひらで持ったならズシリと重そうでもありました。



服部峻昇《玉虫香合桐文》《棗「宙》玉虫の羽を使った作品はまるでミステリーセッティングです。眺める角度により色も変化します。森口邦彦さんの友禅とオニキスを使ったミノディエールケース、神代杉木画箱の中箱に置かれたレティパードミノディエール、それぞれが共鳴しているかのようでした。

 

この章では、イラン王妃のために作られたティアラのレプリカ、インドの王妃が身に着けたエメラルドの《インド風ネックレス 》、マリア・カラスの《五枚の葉のクリップと、茶の湯のお道具の来歴のごとく、誰が身に着けたかが注目される作品も展示されています。

当然のことながら来館者は女性が圧倒的に多いです。ご婦人方は、最初は「私が貰うのだったら・・・」と空想/幻想の世界を呟きながら、ため息交じりにご覧になっておりました。先に進むにつれ、“ヴァン クリーフ&アーペル“の作品に圧倒され、ため息は大きくなるが、呟きは小さくなる傾向にありました。

時間が許す方は、静かにゆっくりじっくり観られる金・土曜日の夜間開館時がおススメです。

今回の展覧会では、“ヴァン クリーフ&アーペル“の制作工程の映像も見ることができます。

職人たちは、もちろん“ヴァン クリーフ&アーペル“の職人であることに強い誇りをもって働いていることが映像からもビシビシと伝わってきます。職人の多くが親もこの仕事に携わり、またハイジュエリーの専門学校を首席で卒業して入社しますが、入社と同時に一番びりを経験する、つまり「一から覚える」。伝統的な技術の継承と革新の日々。映像に写し出されるのは、「職人の手」でした。

図録にありました。「ラグジュアリーの定義とは何か」①自然界が何万年もかかって原料を生み出した「奇跡」②「匠の技(サヴォアフェール)」によって芸術作品となる。そして③所有したいという「欲望」だそうです。

しかし、これら特別の宝飾を身に着けて相応しい容貌であったり、品格みたいなものも要求されるのではないだろうかしら?全く縁のない話だけれど・・・


※ブログ掲載の写真は、内覧会当日主催者の了解を得て撮影したものです。

【開催概要】
・会期:2017429(土・祝)86()
・会場:京都国立近代美術館 HPこちら
・開館時間:午前930分~午後5時、
ただし金・土曜日は午後8時まで
7月1日(土)~85()の金曜日、土曜日は午後9時まで開館
(入館は閉館30分前まで)
・展覧会公式サイト:http://highjewelry.exhn.jp/
・京都国立近代美術館 facebookこちら
☆今回は松雪泰子さんの音声ガイドがおススメです。
【関連イベント】記念レクチャー 4
日時:7月8日(土)14:00~15:00
講師:名和光道(ヴァン クリーフ&アーペル デザイナー)
松原龍一(京都国立近代美術館学芸課長)
【参考】
・“ヴァン クリーフ&アーペル“HP ☆☆☆
SPUR.JP 辛酸なめこさんのイラスト入りコラムです。
「ぶらぶら美術館博物館」スペシャル 6/9()放送予定です。
・昨年MIHOミュージアムで開催された
『ムガール皇帝とマハラジャの宝石 カタール・アル・サーニ・コレクション』 は、宝石の産出国であるインドが舞台で、「宝石」つまり「石」に注目した展覧会でした。拙ブログ⇒
・昨年京都国立近代美術館で開催された
ポール・スミス展 HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH』の拙ブログ

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ARTが好きなのか?美術館に行くのが好きなのかしら? 行きかけると拍車がかかって、前のめりになっている今日この頃かもしれません。 「知らない」「???」が増えるばかりです。
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MUSEUMコンシェルジュになりたいが、ARTには全くの素人。山間部育ち、専攻は「東洋史」、ただただ美術館へお出かけするのが大好きな私が、阪神間の美術展、アート関連施設やアートイベントなどについてアートへの思いを綴ります。つたない文章ですが、読んでくださる方々が、お出かけしてみようかなと思ってくださるきっかけになればと思っております。

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