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噛めば噛むほど味が出る? 「海北友松展」 @京都国立博物館

噛めば噛むほど味が出る? 「海北友松展」 @京都国立博物館

海北友松、読み方は「うみきたともまつ」ではなく「かいほうゆうしょう」。

桃山画壇の四大巨匠と言われますが、狩野永徳、長谷川等伯らと比べると知名度はかなり低め。

ですが、作品を見てみると、眼光鋭い龍の眼差しに圧倒されること間違いなしです。

海北友松(1533-1615)。

実は、もともと近江の戦国大名浅井家に仕える武家出身

しかし、生まれて間もなく、お父さんやお兄さんを戦で亡くし、幼い頃に東福寺に預けられます。

そしてある時、和尚さんに勧められて狩野派へ入門したことがきっかけで、画家へと転身することになりました。

ではまず、パンフレットの表紙にも使われている龍の絵からご紹介しましょう。

こちらは、海北友松《雲龍図》(慶長4年(1599年))、京都、建仁寺蔵。

これはもともと建仁寺の方丈にあった襖絵を掛け軸に直したものです。

部屋に入ってすぐにこのおどろおどろしい龍がどーんと待ち構えていると思うと、なんだかいるだけでとても緊張しそうですね。

友松は龍を描かせばピカイチで、朝鮮から制作依頼がくるほどでした。

報道者向け内覧会でも、友松の龍はとても注目度が高く、みなさん食い入るように見入っていました。

海北友松《柏に猿図》、サンフランシスコ・アジア美術館蔵。

とはいえ、友松の魅力は龍だけにとどまりません。

こーんな可愛らしい作品も描いています。

こちらも元々は襖絵。今は掛け軸として展示されています。

右の白い猿と黒い猿にご注目ください。

白い猿は長い腕で枝を持ち、足で小さな黒い猿の腕を掴んでいます。二匹は結託して何かを採ろうとしています。

一体何を採ろうとしているんでしょうか。

こちらは海北友松《琴棋書画図屏風》、京都、妙心寺蔵。

んー・・・これは何の絵だろう、難しそうだなと思っているあなた。

この絵は意味がわかればとっても面白い作品です。

ひと昔前、文人と呼ばれる人々は、琴、囲碁、書、画の四つの学を教養として身につけることが良しとされていました。

この作品には、四つの学に興じる人々の姿が描かれているのですが、よーく見てみると、右のほうに囲碁の盤の上に琴を置いて居眠りする老人が描かれています。

「えー!!!あの人寝てる!!!」

と思わずツッコミたくなりますよね。

真面目なテーマをポップに表現するのも友松の魅力です。

こちらは、海北友松《花卉図屏風》、京都、妙心寺蔵。

友松は人物画や動物の絵だけではなく、花の絵も描いています。

一面金の背景に実物大の牡丹が描かれています。

余白を効果的に使ってバランスをとっているのがわかります。

ここで面白い小話を一つ。

先ほどご紹介した居眠りする文人を描いた作品や、こちらの牡丹の作品は、妙心寺から依頼を受け、描かれた3作品のうちの2作品ですが、今回なんとその領収書も合わせて展示されています。(現物は会場でご覧ください。)

領収書には、

「銀子一貫目並びに銀子二十枚を確かに受領しました」と書かれています。

これは、当時友松の作品が一枚いくらで取引されていたのかを知るのに有効な資料で、現在の貨幣価値に換算すると、一枚あたり約80万円だったことがわかります。

約80万はかなりお手頃な価格だそうで、友松は次の依頼を期待してお得意様価格にしたのでしょうか、それとも、建仁寺からの依頼を名誉だと考えてこの価格にしたのでしょうか・・・そこはご想像にお任せします。

さて、これまで何点か作品をご紹介しましたが、あくまでもこれは友松の作品のごく一部です。

何度見ても魅了される、見れば見るほどファンになる、そんな友松の作品を是非会場でご体感ください。

 

♦︎展覧会情報♦︎

「京都国立博物館開館120周年記念 特別展覧会 海北友松展」

於:京都国立博物館

会期:2017年4月11日〜5月21日

休館日は月曜日です。

一般 1500円、大学生 1200円、高校生 900円

展覧会情報はこちらをクリック

 

 

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この記事を書いているのは
たねもー

たねもー

大学院で美術関連の研究をしていました。絵画や美術館、歴史、文学などいろんなことに興味があります。わかりやすいアートの解説や、行ってみたくなる美術館の紹介など、アートを広める活動に尽力しています。

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