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『海北友松展』で探る友松の心

『海北友松展』で探る友松の心

5月21日まで開催している京都国立博物館開館120周年記念『海北友松展』。

驚いたことに友松の個展は、昭和14年に同じく京都国立博物館で初めて開かれ、その後たったの3回のみ。桃山画壇の最後の巨匠と言われているものの、まだまだ謎多き絵師であり、知らない人も多いのではないでしょうか。

なんといっても最後の作品『月下渓流図屏風』、個人的には、この作品に魅了されてしまいました。

やわらかな、しっとりした空気。上品な色気が漂うような作品です。水墨画ではありますが、色が見えるようです。

半分以上は、いわゆる余白。その余白が雄弁なんです。そのスペースから匂い、景色、音などを感じることができます。

余白がうまいなと感動していたのですが、ふと、彼の雲龍図をもう一度見直してみようと思いました。彼の描く龍は、海外でも評価され、描いてほしいと依頼があったほどだったそうです。なるほど、と頷くような迫力のある作品です。画面いっぱいに、龍の頭部に、風。そしてこの風がすごく面白いのです。はっきりとした渦巻きで、墨で円を描くというよりは、定規を当てているかのような印象を受けました。水墨画に、デザインを組み込ませたような、という感じでしょうか。これはまるで余白ゼロ。

色んなタイプの絵を描く人だ・・・その場ではそう思いました。

しばらく、この余白について考えていたのですが、友松は、そのものの対象より、それ以外のものを描くことが楽しかったのではないかと思いました。雲龍図であれば、渦巻き状の風、月下渓流図であれば余白。描きたいというか試してみたい部分は、それらなのではないかと考えました。

狩野派に入門したものの、永徳が亡くなり、離脱し、それからは、我が道を行きます。好きなように、自分が楽しんで描いているように見えます。また文化人と交流していたようで、それから得る刺激が彼を余計に派に属さない方向に導いた気がします。

武家の家に生まれて画家になったということも友松を語るときに言われますが、生い立ちなどはどうでもよく、彼は純粋に絵を描き、楽しみたい、それだけだ、と思っていたかもしれません。それ以外にこだわりがないところが、多様なタイプの絵を描き、今日捉えどころないと感じさせるのかも。

 

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今年はすでに山田正亮にやられ、ギュウちゃんのボクシングペインティングと、個性派に魅了されています。さて次は何に心奪われるのでしょう。
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この記事を書いているのは
カワタユカリ

カワタユカリ

アートマニア目指して日夜勉強中?と、いっても難しいのはやっぱり苦手。気楽に、好きに、楽しみたい!関西だけでなく、日本全国津々浦々アート三昧旅が夢。

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