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18切符で日帰りアートの旅

18切符で日帰りアートの旅

18切符の時期になると、阪神間から抜け出してちょっと遠くへ出かけたくなる。

ガタゴトと電車に揺られてでかけます。時々予定の列車に乗れずにホームで時間つぶしをしたりもします。「やらない事」電車の中で出来るだけ携帯は見ない。知り合いから安く行きたいなら夜行バスがありますよって、私は大きく首を振ります。そもそもバスは車酔いします。しんどいと思ったら降りるという選択ができない。バスという限られた閉鎖空間な感じもあり、夜行なら窓からの景色が見えないじゃないですか。(バス派の方にはごめんなさい)「じゃー電車の中で何してるんですか?」「えっ!」窓の景色を眺めたり、本に目を落としたり、ウトウトしたり、車内の色んな話し声を聞くともなく聞いたり、乗り降りの人を見たり、ホームに立つ人を見たり・・・と時間は過ぎていきます。
18切符は5枚綴りです。1か月一人で利用するなら5回、年末年始を挟んで5回美術館へ行くことになります。さてさてどこへ行こうか?美術館捜しから始まります。

私は、“ゆっくり“、自分のペースで観たい、時間に急かされるのが嫌なので、いつも1つの展覧会を観ておしまいという事が多く、その日のそこそこの時間に帰ろうとすると美術館1つ回ってお仕舞なことが多いのです。

私の18切符デビューは遅くて、「ジャクソンン・ポロック展」@愛知県美術館 です。

どうしても観たかった「ポロック」で、じゃぁ~18切符でいってみようという事になりました。行ってみるとさすが“東海道本線”です、スイスイつながります。愛知県美術館はコレクション展も良いので、自分のペースで回って、名古屋滞在時間5時間で帰るとそこそこの時間になります。それ以来名古屋は18切符で必ず訪れるようになりました。

「徳川美術館」が本命でしたが、都合があって2日ほどずれたために美術館に着いて休館中に気付いた!ではと「名古屋市立美術館」と「愛知県美術館」どちらか(名古屋ボストン美術館も休館中)で、奈良美智さんのかの女の子がチラシになっていたので行き慣れている愛知県美術館へ行ってきました。『コレクション企画 日本で洋画、どこまで洋画?高橋由一から現代画家まで所蔵品から「日本の洋画」を考える展覧会でした。愛知県美術館の入っている愛知芸術文化センターのB1にあるアートショップがお気に入りです。いつも立ち寄ります。年明けも来るつもりではおりましたが、どうしようかなぁと思いながらもこのときは「前売り」は買わずに帰宅。

サントリー美術館 で開催され大きな話題を呼んだ『鈴木其一展』が、師匠酒井抱一のお膝元姫路へ巡回していました。ポスターすら目にしなかったのは、次に京都の細見美術館へ巡回するからだったからだろうか。細見美ならきっと混むはず、しかも細見美は1つの展示室が狭く、それが上から下へと別れて繋がっています。なら一度先に姫路へ見に行ってこようと思い立ちました。(クリスマス前の会期ギリギリに)姫路市立美術館 は、其一の師匠の「酒井抱一展」以来です。巡回では来ない作品と分かってはいましたが、代表作の「朝顔図屏風」や「夏秋渓流図屏風」のない展示はやっぱり淋しい。地方の悲しさをヒシヒシと感じます。「夏秋渓流図屏風」のアメーバーの様な水の流れに其一の性格のねちっこさが出ているのでは・・・という友人もいます。仏画が目を惹きました。これでもかと描きこんでいます。そういう性格なのか?其一は。

201712日から細見美術館で開催中です。(展示替え3回) 勿論、こちらへも3回ともに出かけたいと思っています。カワタユカリさんがブログを書かれています⇒コチラ

姫路市立美術館は、ポール・デルボーのコレクションで有名ですが、常設展示は姫路の大病院からの寄贈作品が展示されていました。嘗てはかの「松方コレクション」であった作品も何点かあり、「あぁ~」とここにもと神戸で観た「松方コレクション展」を思い出しました。

姫路から新快速で京都は近い!美術館「えき」KYOTOは、京都駅直結です。「ミロコマチコ いきものたちの音がきこえる」に続けていけたのも18切符のお陰でした。最近注目の絵本作家さんの作品展でした。デパートの美術館だけにクリスマスシーズンにはぴったりの企画展だった。こちらはブログに書きましたので詳しくは⇒コチラ

年末に出かけました。良い展覧会をされているなぁと前々から気になっていた和歌山県立近代美術館。和歌山市へ行った記憶がない。恩地孝四郎が好きなので、出かけたかったのに見逃してしまった和歌山県立近代美術館です。大阪駅から電車1本で行けるなら近い!と思い込んでいたが意外と遠かった。関空の最寄りの駅からも遠かった気がしました。駅前からバスに乗り美術館まで、左手に紀州藩和歌山城が見えました。そこからは直ぐの和歌山県立近代美術館、その建物にまずびっくり (_ ;) 。こちらも安藤さんかと思いきや、黒川紀章さんの設計でした。建物内部の作りも面白くどこを見ても楽しかったです。

動き出す!絵画 ペール北山の夢–モネ、ゴッホ、ピカソらと大正の若き洋画家たちは、北山清太郎という人物を軸に大正期に出版された『みずゑ』『現代の洋画』などの美術雑誌と日本に紹介された洋画を調べ、丹念に追ってその作品を展示するという丁寧に作られたとてもいい展覧会でした。よくこれだけの作品を集められたと思いました。東京ステーションギャラリーからの巡回です。こんないい展覧会がどうして話題になっていないのかと個人的には不思議。これを昨年のベストにあげておられた東京在住の方には拍手の思いでした。

2Fのコレクション展も『大正の異色画家たち』と題し、大正期の版画が並び一人ワクワクしながら観て回りました。こちらの美術館は版画が充実しています。橋口五葉の作品が、彫師と摺師と一緒になって一段上の浮世絵の様な世界が出来上がっていて、五葉を再認識しました。和歌山県立近代美術館は、期待通り、いえそれ以上の美術館で、ちょっとばかし遠いけれど、これからは18切符で出かけたいと思いました。こちらはお隣の和歌山城もちらっとよって帰宅。乗り換えなしで大阪まで帰ってこられるのはありがたい。

年明けて、出かけたのが『ゴッホとゴーギャン展』@愛知県美術館 この特別展がお目当てで出かけていきました。好きな西洋の画家は?と聞かれれば、ゴーギャンとセザンヌははずせません。愛知県美術館は、展示がしっかりしているというか、見やすいというか。いつも感じます。キャプションが私には難しいことも往々にしてありますが、今回は超有名画家の二人の分かりやすい作品が並び、冬休みと言うこともあって小さいお子さんも多かったが、マナーがとても良い、いつも美術館に来ていらっしゃるのかな?素敵なことですね。個性の強いゴッホとゴーギャン、この二人の関係性に注目した展覧会です。出会いと共同生活と破綻、ゴッホの病気と自殺、ゴーギャンの文明社会からの逃避行と先に逝ったゴッホへの思いとタヒチでの生活と死。

ゴーギャンのブルターニュ特有の被り物と衣装を着た女性が描かれている作品と急速に変化した西洋文明に背を向けたゴーギャンの気持ちが伝わってくるようなタヒチでの作品に惹かれます。ナビ派とゴーギャンの繋がりも分かる展覧会でした。ナビ派のどろんとした(少なくともしゃきっとした色ではない)何とも言えない色調も結構好きな私です。「クロワゾニスム」と呼ばれる平板な色面で描かれた作品が好きなのかもしれません。 セリュジエ《リンゴの収穫》は、真ん中に立ってリンゴをもごうとしている人物からか?ゴーギャン≪我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか≫に似ていると思いました。私はこれをアメリカまで見に行くことはないだろうからと2009年に名古屋ボストン美術館へ18切符でなく会い行きました。

ゴッホの思いは熱く、一生懸命過ぎる?ゴーギャンとの共同生活に胸膨らませて描いた《ゴーギャンの椅子》や思いが強く出た作品は、観るといつもその思いにちょっと辛くなります。この特別展は始まったばかりですので、おついでのある方はお出かけになってはどうでしょうか。

名古屋なら紀伊半島横断の選択もあるかと一度それで帰ってみましたが、JRでのその選択はちょっとチャレンジングな経験でした。三重と大阪を繋ぐのは近鉄電車なのですね。

さて、あと1回どこへ行こうか?滋賀県立美術館も広い公園の中にあって素敵な美術館で、候補にあがるのですが、JRの駅からのアクセスがちょっと不便に思えて今回は却下、岡山県立美術館や林原美術館、倉敷の大原美術館、笠岡の小野竹喬美術館、西はもっと遠くへ行きたいと思い、思い切って尾道まで行ってきました。行けるものですね。

『神田日勝展-北海道の大地から-』@尾道市立美術館

尾道は、映画「時をかける少女」の舞台となった街、坂とお寺と猫の街。何年ぶりだろうか、駅を出ると目の前が入り江になっていて、そこまで走って行ってしまいました。駅から千光寺公園までお寺を巡りながら坂を上がって行く。どんどん海が遠くまで見え、目の前のドックの作業の音や汽笛も聞こえてきました。

神田日勝、日曜美術館で見た半分だけ描かれた馬が忘れられない。

帯広近くの美術館までは行けないだろうと思っていたが、こんな温暖な瀬戸内の街で出会えるとは。大地に根をはり、農業に生活の主軸を置きながらも、32年というあまりにも短い人生の中、もがきながら描き続けた画家でした。泥臭い作品なのかと勝手に思い込んでいましたが、その時代を反映した色鮮やかな作品も多く驚きました。チラシとなっている作品に描かれている新聞はコラージュでなく日勝が描いています。彼の兄は東京芸大に進学しており、彼にもその道が閉ざされていたわけではなかったであろうが、農業をすると自分で決め、そこからの日々のエネルギーを作品にしたのではないかと感じました。厳しい環境の中から生まれた静かにも、大地の叫びの様な作品でした。

尾道からは遠く瀬戸内の島々が見えます。奥様の実家のある因島へ移り住んだものの昨年春に急逝した友人に会いに来たのか私は、と瀬戸内の穏やかな島々を眺めながら思いました。

帰りの電車で岩国行きの電車とすれ違い、次はもっともっと西へ行ってみたい。

【参考】
・美の巨人たち 神田日勝記念美術館http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/data/060826/
・artscape>Artwords:http://artscape.jp/artword/index.php

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ARTが好きなのか?美術館に行くのが好きなのかしら? 行きかけると拍車がかかって、前のめりになっている今日この頃かもしれません。 「知らない」「???」が増えるばかりです。
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MUSEUMコンシェルジュになりたいが、ARTには全くの素人。山間部育ち、専攻は「東洋史」、ただただ美術館へお出かけするのが大好きな私が、阪神間の美術展、アート関連施設やアートイベントなどについてアートへの思いを綴ります。つたない文章ですが、読んでくださる方々が、お出かけしてみようかなと思ってくださるきっかけになればと思っております。

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