ダリの永遠のミューズ 京都市美術館【ダリ展】

砂漠に、歪んで溶けそうな時計が一つ。悪夢に出てきそうな、不思議でグロテスクな世界。ダリの印象といえばまさにあの柔らかい時計がアイコンだったが、この回顧展では若きダリから晩年のダリまで、ダリの生涯に添いながら作品を観ることができる。シュルレアリスムだけでない、ダリの“人”としての魅力に触れ得たような気がする。

今回、“人間ダリ”の中で、一番、興味を引いたのが、ダリの生涯のパートナー、ガラという女性だ。
ダリが自身の作品に「ガラ・サルバドール・ダリ」と印すことはよく知られている。どれほど彼女を愛していたのかと思うが、彼女は、私たちの想像を遥かに超える存在だったようだ。
解説によると、ダリはガラとの出合いをこのように記している。
「わたしはいま血のつながった魂を発見したのだった。……わたしは彼女の新しく生まれた子、彼女の息子、彼女の恋人となり、彼女はわたしのために大空に窓をひらいてくれた」。
エレナ・イヴァノヴナ・ディアコノワというロシア人女性、ガラ。彼女がダリと出合ったとき、すでにポール・エリュアールという詩人の妻であり、一人娘の母だったが、出会って間もなく、彼女はダリに寄り添い、生涯を共にすることになる。

今回の展覧会には彼女をモデルにした作品も多く展示されている。写真を見ると(個人的には)絶世の美女、という印象ではない。でもハッとするような強い光を瞳の中に宿している女性だと思う。その瞳の光は「ターバンを巻いたガラの肖像」にも見てとれる。
ガラはダリの創作を支え、有能なマネージャーであり、ダリと一体化してさまざまな作品を世に送り出したアーティストであったという。彼女なくしてはダリが彼女と出会った1929年以降の作品は、生み出されることはなかったのではないか。著書でダリはこう語っている。

「私の仕事に何が必要で何が不必要か、ガラは常に私以上にわかっていたのだ」。

偉大な芸術家の、まさしくミューズだったガラ。
とても同じように生きることは出来ないけれど、同じ女性として、人として、ただ、ただ“凄い”と思う。同じ時代に生まれていたら、チャンスがあったなら、インタビューをしたかったな。あの瞳の前にすくんでしまうかもしれないけれど…。

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