とにかく凄い!“奇跡のコラボレーション”という宣伝文句に、偽りなし!  『建築家 ガウディ×漫画家 井上雄彦』

普通の展覧会ではないと聞いていたけれど。
のっけから、ぐいぐい引き込まれてしまった。
最初に目にする一枚から、確かに普通の展覧会とはちがう。最初の一枚は、井上雄彦の作品だ。幼い少年ガウディの不安げな表情と瞳。そこから、一気に井上彦の世界に引きこまれていく。
少年のガウディが、自分の骨の痛みから、いのちの構造を感じる絵には、衝撃を受けた。それが未来の偉大な建築家の予感へ繋がっていく。

次に目にするのは、ガウディの若い頃の貴重な設計図の数々だ。骨の構造にも似た繊細な線に見入る。直線の中にアールの線が複雑にからんで、体が弱いゆえに、自然を見つめ、自然と親しんだ、あの少年の視線を感じる。
空間を歩いているのに、なんだろう、井上雄彦のマンガの世界、平面の中を歩いている気分になる。「さっきの少年が、描いた設計図だよね?」そんなことを自分に問いながら、不思議な思考回路で、ガウディと井上が繋がっていく。

細い通路を抜けたとたん、ガウディの三次元の世界へいきなり飛び出した。

公園、建物、鉄の鎖の扉、そして椅子。平面から立体へのダイナミックな変化。ジェットコースターでくるくると世界が巡っていくような、圧倒的な力と力の対決。ものすごい感動が湧き出ているのに、ただ、黙って、しんとして、歩いていく。でも心のなかは、ワクワクと弾んでいる。

あるコーナーで、ガウディの椅子に座ってみる。巨大な葉っぱに乗っているような、大仏の掌に包まれるような感覚。温かくてとても安心する。

ふわふわと遊んでいるうちに、再び、井上雄彦の平面の世界へぐぐっと引っ張られ、最後は、サグラダファミリアの世界へと、すとーんと吹き飛ばされる。
あれよあれよと巡り巡って、よくわからないけど、主催者側の意図に完全に振り回されているのに、ものすごく爽快。

最終のコーナーで一番、見入ってしまったのは、真っ白なサグラダファミリアの立体模型だ。完成予想の動画も面白かったけれど、真っ白な尖塔が天を目指していく模型の美しさに、息を飲む。
何度も何度も、繊細な装飾の細部まで見入ってしまう。
一体、ガウディはなぜ、サグラダファミリアをつくり始めたのだろう?見れば見るほど、その疑問が湧いてくる。完成を見ることは絶対、叶わないのに。今を生きる私だって、サグラダファミリアの完成を本当に見られるかわからない。でも、それがわからないから、未知のものだからこそ、いや、常に途中過程を見せ続けてくれるサグラダファミリアだからこそ、世界中の人が魅了されるのかもしれない。

晩年は、すべてを神に捧げ、ストイックに生きたガウディ。偉大な建築家の最期はとてもあっけなかった。ある朝、路面電車にひかれて、亡くなったという。あまりに質素な姿の老人を、しばらくだれもあの偉大な建築家と気付かぬままだったそうだ。
ほんとうに、あっけなく、ガウディは逝ってしまった。
「サグラダファミリアのクライアントは神」。そう言い続けた建築家は、神のみもとにいって、今は天空から、偉大なプロセスの日々の変化を見続けているのだろうか。

井上雄彦の最後の一枚も、深く深く、印象に残った。

窓がない会場を出て、明るさに一瞬目がくらむ。ガラス窓の向こうには神戸の海が広がっていた。ビルや道路のかたちが、やけに、鋭角的に思える。ずーっと、あの動物みたいな、なにかの内臓のような、活き活きと鮮烈な造形の嵐の中にいたからか。ひょっこり、現代の日本にワープした感じ。

ショップには、サグラダファミリア関係のグッズがたくさん売っていた。が、思考回路がついていかず、ぼーっとして、一本で芯が何色も分かれている鉛筆を三本だけ買った。あっ、エコバッグもステーショナリーも買えばよかった!と、美術館グッズフリークの私は、帰りの電車でちょっと悔しがる。
でも、きっと、もう一度行くだろうな、あの世界に会いに。
次は、心の準備が出来ているから、エコバックもステーショナリーもきっちり買って帰るぞ。

力と力が出会い、ぶつかって、融合する。
東西を越えて。時空をこえて。

本当に本当に、凄かった。

世紀の凄いコラボを考えてくれた人に感謝!

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